「いのち」の尊さ、育むことの大切さを今一度みつめてみよう
性教育が自分自身と自分の将来を守る
母性看護学という分野は、女性の生涯にわたる健康とそれに関わる家族の支援について学びます。妊娠や出産、産後が中心と思われがちですが、思春期や青年期も重要です。
いつかは結婚して子どもが欲しいと思っている人でも、いざとなると子どもができなくて不妊治療を受けることもあります。生理不順や不正出血などがあれば、青年期のうちから整えておくことが大切になります。また、望まない妊娠、デートDV、性暴力、性感染症などで悩む人もいます。10代や20代から、性や出産に関する現実を知り、自分の心と体を知ることで、自分を守り、将来に備えておくことが大切です。自分の心と身体を知ることは、女性だけでなく、男性においても重要です。
子育ては愛された実感の有無に影響されやすい
子どもを授かって子育てが始まり、愛情をもって育てようとしても、うまくできない人がいます。子育ては、自分を育てた親の影響を受けやすいと言われています。青年期の人たちを調査すると、親が共働きで一緒に過ごす時間が短くても、「愛されている」という実感があれば、子育て中において心の安定につながり、逆に、親と一緒にいた時間が長くても、愛情を受けた実感がなければ、自分が親になることに自信を持てない傾向があるようです。中には、虐待を受けている子もいますが、親ではなくても、第三者となる人たちから「愛されている」体験をすると、心の安定につながるとも言われています。虐待する人は、自分も保護者から虐待を受けていたケースもあり、虐待の連鎖を断ち切ることが大切です。
女性に関わる課題を明らかに
親との関わりや、性に関する知識や教育が、女性のライフステージに大きく関わります。まずは、自分の心と体の健康について知ることが、自分を守ることにつながります。そして、誰にも言えずに悩む人に対して、現実的にどんなサポートが可能なのか考える必要があります。女性にまつわる課題の解決は、実際に起きている問題を明らかにすることから始まるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
藤田医科大学 保健衛生学部 看護学科 教授 藤原 郁 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
看護学、母性看護学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?