カテーテルで命を救え!
検査から治療まで
カテーテルは体内に挿入して使用する細い管です。医療現場には欠かせない医療器具で、素材や太さ、形状も多種多様にあり、用途や目的によって使い分けられています。以前は、心筋梗塞(こうそく)の患者さんの血管に挿入して心内圧を測定したり、心臓の形や血管の状態をX線で撮影するために造影剤を注入するなど、検査と診断のために使うことがほとんどでした。
また治療は投薬か、重症の場合は開胸手術が一般的でしたが、現在は、カテーテルによる治療が普及しています。心臓カテーテル治療は、先端に医療用の小さなバルーン(風船)をつけたカテーテルを手首や足の付け根から挿入し、狭くなったり詰まったりした血管をバルーンで広げて血流改善を図ります。開胸手術は必要ないので痛みも少なく、患者さんの負担も少なくて済みます。
心停止をECMOで蘇生
新型コロナウイルスで重い呼吸不全になった患者さんの治療機器として、ECMO(エクモ)が注目されました。これは人工肺とポンプを用いて肺や心臓の代替を行うもので、人体とECMOとをつなぐのもカテーテルです。以前は、大半が心臓手術時の心臓補助として、また救命医療の現場では心停止状態の蘇生手段として利用されてきました。体温が20℃以下の低体温で心停止した患者にECMOを取り付け、取り出した血液を温めて体内に戻すと、体温が少しずつ上昇し、蘇生させることができます。逆に熱中症の場合は、冷やした血液を戻して快復につなげます。
一刻も早い処置のために
ECMOを車に積んで現場で治療を始めるドクターカーシステムも実際に稼働が始まっており、心停止患者さんの蘇生例も報告されています。これまで病院処置室で行っていたカテーテル治療は、ドクターカーやドクターヘリにより現場での治療も可能になりました。ドクターヘリの現場で外傷患者の止血処置をカテーテルで行って救命することが今の短期目標です。
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先生情報 / 大学情報
弘前大学 医学部 医学科 教授 花田 裕之 先生
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