消費者に求められる責任とは? エシカル消費の重要性

消費者に求められる責任とは? エシカル消費の重要性

消費者に求められる責任

2013年にバングラデシュにあるアパレル製品工場の建物が崩落し、大勢の労働者が亡くなる事故がありました。この工場ではファストファッションブランドの商品が作られていました。先進国の人々は安い服が手に入って得をしていますが、それを作る人々は劣悪な環境で働かされていたのです。この事故を受けて、先進国の消費者にも社会的責任があるのではないかとの問題意識が高まりました。

価格が高い商品をどう広める?

自分が購入するものがどのような方法で作られたのか、人権や自然環境などにどのような影響を与えているのかなどを考慮した、「倫理的消費(エシカル消費)」が求められています。ただし人権や環境などに配慮した商品は、そうでないものに比べて価格が高くなります。そのため単に販売するだけでは、消費者はなかなか手に取りません。そこで企業が消費者にどうアプローチすればエシカル消費が広まるのか、どのような消費者はエシカル消費をする可能性が高いのかなどを明らかにするための研究がなされています。

エシカル消費を促す方法

研究により、消費者への情報の伝え方を工夫すると、エシカル消費の促進につながることがわかってきました。例えば環境に優しい商品を売る場合、単に「自然を大切にしましょう」と感情的に訴えても長続きしません。環境を守るための取り組みがなぜ必要なのか、その商品を買うと問題解決にどう貢献できるのかなどを納得できる形で具体的に伝えると、消費者は関心を持ち続けやすくなります。
また、消費者が持っている知識もエシカル消費に影響を与えます。ある程度の知識を持つ人は、商品を買うときに価格が少し高くても「払ってもいい」と思うだけでなく、新たな情報を受け取ったときにも、その態度が安定的な傾向が見られます。そのため人権や環境に配慮した商品を選ぶ可能性が上がるのです。
企業が人権や環境に配慮して商品を作っても、消費者が選んでくれなければ上手くいきません。その意味で、消費者自身の選択も問われているのかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

青森公立大学 経営経済学部 経営学科 准教授 行本 雅 先生

青森公立大学 経営経済学部 経営学科 准教授 行本 雅 先生

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応用ミクロ経済学、マーケティング論

メッセージ

若いうちはなんにでも広く関心を持つといいでしょう。私の研究テーマは、もともと専門にしていた分野とは異なります。それでもさまざまな分野に興味をもって学んでいたおかげで、この研究テーマでも貢献することができました。将来何が役に立つかはわかりません。私自身も以前学んだことを、自分で使う日が来るとは思っていませんでした。ですからあなたも幅広く勉強しておくと、のちのち役に立つことがあるはずです。また、エシカル消費に興味があれば、消費者庁が取り組んでいる啓発活動を調べてみると勉強になると思います。

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