何を買うかで、その人の生き方が見えるとしたら? 消費のお話
売るシステム「ダーク・パターン」
Webページを見ていると「1カ月間無料サービス」というPRウィンドウが表示されることがあります。「試します」「試しません」の2つが出てきますが、よく見ると「試します」のほうが色鮮やかに強調されていて、ついクリックしてしまう仕掛けになっています。これはダーク・パターンと呼ばれる、ものやサービスを売るためのシステムです。
ほかにもオンラインゲームや推し活などで、多額な課金をしてしまう若者がいます。各自がスマホを持つことで、消費の個別化が進んで大人の監視が行き届かなくなり、若年層の消費トラブルが増えているのです。
何を買うか=何を大切にしているか
またトラブルにいたらないまでも、欲しくないのに雰囲気に流されて買い物をしたり、何も考えずに衝動買いをしたりして、後で「必要なかった」「お金を使い過ぎた」と後悔することがあります。このような消費は、お金・時間・資源の無駄だと言えます。考えてみれば、ものを選んで買う時、「カワイイ」「コスパがいい」「推し関連」など、人それぞれに重視する基準があります。つまり「どのような消費をするか」に、その人が大切にしている価値観や生き方が反映されているのです。自分がどのような生活をしているかに気づくためにも、消費を学ぶことが大切です。
消費者教育が豊かな社会をつくる
教育の現場では、すでに消費者教育が始まっています。教室で教育を行うことにより、同級生の多様な消費の価値観やさまざまな消費トラブルの事例にふれて、みんなで知識を共有できます。またゲーム感覚で、予算内で買い物をする訓練をすれば、消費欲求を抑えるという「生活設計力」を身につけることもできます。さらに自分の消費行動が社会や環境にどのような影響を与えるかというエシカル(倫理的な)消費を考えて、持続可能な社会に貢献することもできるでしょう。消費を学ぶことは、自分や社会が豊かになる「Well-being」につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
福岡教育大学 教育学部 家政教育研究ユニット 准教授 奥谷 めぐみ 先生
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消費者教育学、生活経営学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?