検索をもっと自然に! AIで進化する情報アクセス技術

Web検索の不自然さ
私たちは毎日のようにWeb検索を使っていますが、実は非常に不自然な方法で検索させられています。例えば、店頭でテレビを買うときに「輝度何ルーメンで画素数いくつ」とは言うことはまれで、「ゲームに適したテレビが欲しい」と目的を伝えるはずです。しかしWeb検索では、欲しい情報が書かれていそうな記事に含まれる単語を予想して入力しなければなりません。この「不自然さ」を解消することが、現代の情報検索における重要な研究課題となっています。
「目的」で検索
この課題を解決するために、SNSでの反応やレビューなど、さまざまなデータを活用する研究が進められています。例えば「泣ける映画」を探すとき、レビューに「泣ける」とは書かれていなくても、「ハンカチがぐちゃぐちゃになった」「メイクが崩れた」と書かれていたら、「泣ける」映画を見つけ出すことができます。こういう検索を可能にするために、機械学習を用いて、「泣ける」という抽象的なキーワードと、具体的なレビューの表現を結びつける技術が開発されています。
また、目的検索を可能にするために、AIによる推論も活用されています。例えば「ギターの練習ができる場所」という目的での検索では、「あるカラオケ店でギター練習ができた」という情報があれば、同じ系列の他店舗でも練習できる可能性が高いと推測します。ほかにも「ウクレレの練習ができる」という情報からギターも練習できるだろうと推測します。
実世界へと広がる情報アクセス技術
このような検索技術は、インターネット上だけでなく、実世界での活用も期待されています。例えば、博物館の多数の展示物の中から、自分の興味に合った展示物を効率的に見つけられるガイドシステムです。現在の音声ガイドは、展示物の前に来たときに一律の解説が流れるだけです。これに対し、来館者の興味や目的に適した展示物と観覧ルートを提案して、ガイドの内容もそれに応じたものにすることを目標としたシステムの研究が進められています。
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