言葉の曖昧性に立ち向かう検索エンジン
「情報検索」という研究分野を知っていますか?
古くから、人は情報を求めてきました。昔から行われているのは、目的の情報を見つけ出すために書籍を調べるという方法です。しかし、今ではインターネットが発達し、情報検索はより容易になりました。検索エンジンにキーワードを入力してボタンを押すだけで、インターネット上の膨大な情報を手に入れることができます。最近はスマートスピーカーを使って音声による情報検索を行うこともできるようになりました。
悩ましい言葉の曖昧性
しかし、思い描いた情報を必ずしも見つけられるわけではありません。関連するキーワードを検索エンジンに入れても、思った通りの検索結果が得られないことがあります。その原因の一つが「言葉の曖昧性」です。多くの言葉は複数の意味を持ち、文脈によって意味が異なります。例えば、「ジャガーが速く走る」の「ジャガー」が動物なのか自動車なのかは判断が難しいでしょう。他にも、「ポケモン」がゲームなのかアニメなのか映画なのか、また、「新しいスマホ」は新機種なのか新品なのかなど、さまざまな種類の曖昧性があります。その解決には「自然言語処理」を活用します。自然言語処理は、コンピュータに人間の言葉を理解させ、適切に処理する技術を開発する研究分野です。その中で、言葉の意味の曖昧性解消は非常に重要な研究課題の一つです。近年は人工知能技術の一分野である深層学習という技術の発展に伴って意味の理解も進化していて、情報検索の研究にも役立てられています。
今後の情報検索技術はどうなるでしょうか?
当初は文字入力だった検索エンジンは、今は音声入力や画像入力も加わりました。今後も新たなデバイスやツールが普及すれば、それらに適した新たな検索課題が発生するでしょう。例えば、ウェアラブル端末が私達の日常にもっと普及すれば、「あのオシャレなお店の人気メニューは?」といった検索が行われるかもしれません。どうやって「オシャレ」を見分ければよいのか、まだまだ曖昧な言葉に立ち向かうことになりそうです。
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先生情報 / 大学情報
一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科 准教授 欅 惇志 先生
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