人体の最後にして最大の不思議
いちばん近くにある神秘
私たち自身であるのにまったく理解ができないもの、それが脳です。私たちの体に残された最後のブラックボックスと言ってもいいでしょう。脳とは何者なのかを知るために脳科学者たちは誰も踏み入れたことのない領域へと四苦八苦しながら進もうとしています。
脳の働きとは人間の心理ということですから、最終的なゴールは「心とは何か」を知ることになります。つまり、脳科学は心理学なのです。
従来の心理学は人間に情報、刺激を与えて、それによる行動から脳の中で何が起こっているかを推測するものでしたが、脳科学にはそれにプラスアルファがあります。それは最先端の科学を用いた計測技術です。推測するしかなかった脳の中がこの計測技術によって見えてきました。
頭の中のことが目の前に!
計測された脳の働きを画像化するのが脳機能イメージングと呼ばれるものです。話をしているときや体を動かしているとき、ものを考えているときなどに脳のどの部分が使われているかを画像で見ることができます。
この脳機能イメージングを用いた研究の一つに、言語に関するものがあります。これは私たちの言葉が脳の中でどういうふうに表現されているのかを研究するものです。まだわからないことだらけですが、その中でわかりはじめているのが母語と外国語の違いです。
幼稚園ごろの年齢以前に外国語を使う環境にいた人たちは母語も外国語も脳の同じ場所を使いますが、一方で小学校以降に外国語を習った人は違う場所を使うのです。さらに、そこから外国語を学びやすくするには脳をどう使ったらいいのかという研究が進められています。
芋づる式に出てくる謎
脳について新しいことがわかると、その向こうにまた新たなわからないことが出てきます。いま、脳科学がとても発達していると言われています。しかし、仮に心を知るというゴールを山頂だとしましょう。脳科学者はその遠い頂上をめざして登っているわけですが、一合目まで登ったと思ってもそこはまだふもとだったということがしばしば起こりえるのです。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 加齢医学研究所 教授 川島 隆太 先生
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