力士の実力を数学で計算? オペレーションズ・リサーチとは
意思決定の科学
物事を決めるプロセスで、勘や経験に頼らずに、数学を使って論理的に最適な答えを見つける方法の研究を「オペレーションズ・リサーチ」と言い、「意思決定の科学」と呼ばれています。
オペレーションズ・リサーチでは、物事の良し悪しをどう測るか、より良いものをどう選ぶか、を数学を使って解決します。企業の経営戦略や電車の運行システム、看護師の勤務シフトのスケジューリングなど、さまざまな場面で取り入れられています。
最適な生産量を見つける
オペレーションズ・リサーチの基礎的な例として、工場などで製品の生産量を決める「生産計画問題」があります。例えば、A、Bという2種類の製品の生産量をそれぞれx、yで表すと、使用する原料の量や利益の値がxとyについての数式で表現でき、それらをxy平面のグラフで表すことで「利益が最大になる生産量」を見つけることができます。
製品の種類がもっと多い実際の生産現場では平面のグラフでは書き表せませんが、同様の考え方を発展させて最適な答えを見つけることができます。これは数学の持つ「抽象化」の力です。
スポーツ選手の能力を数学で測る
オペレーションズ・リサーチで、スポーツ選手の能力を測る研究もあります。
例えば、大相撲の幕内力士42人の本当の強さを数学で「計算」する方法です。大相撲は力量(番付)が近い者同士が対戦して勝った回数を競うので、番付の低い力士でも優勝できる面白さがあります。しかし、それゆえに、単純に白星の数が本当の強さを表しているとは限りません。そこで、どの対戦相手に勝ったか負けたかのデータを、数学の「行列」という概念(複数の数値を縦横に並べたもの)で表現することで、相手の強さを考慮した評価を可能にします。
また、サッカーチームの実力の評価であれば、さまざまな評価の観点を重みづけて総合的に集計する必要があります。チームごとにその強みが異なっているため、それぞれがその強みを活かすような重みを用いて総合評価を得る手法が提案されています。
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