ロボットの進化 「人間に近づけること」と「最適な形にすること」

ロボットの進化 「人間に近づけること」と「最適な形にすること」

「グラフ探索」して自ら動くロボット

人の形をした「ヒューマノイドロボット」を実用化するときの課題の一つは、ロボットにとって複雑な環境の中で、自ら効率のよい作業手順を考えられるシステムを作ることです。その解決策の一つとして「グラフ探索」があります。今の地点からゴールに至るまでの経路を探すという考え方で、動作手順を考えさせる方法です。
例えばロボットが転んだときに、仰向け、うつぶせなど今の姿勢をセンサで検知して、起き上がるために腕を前に付くのか、後ろに付くのか、その次にどうするのか、自律的に判断して動きます。動作の途中で人とぶつかって転んだら、その姿勢を認識して新たに手順を探します。このシステムは、AIと組み合わせることでさらに高度になると考えられています。

ゲーム感覚でロボットを操縦

「一般の人がロボットに動作を教えやすいこと」も、実用的なロボットの開発に重要な要素です。そこで、ゲームのデバイスやアプリを、ロボットに動作を教える手段として使う研究も行われています。ゲームに関する技術では、VRのキャラクターを動かすことなどが進んでおり、それがロボットに応用できるのです。
ジョイスティックなどのゲームデバイスや、パソコン、スマートフォンを使ってゲーム感覚でロボットを操縦すると、その動作を記憶して、次からは簡単にその動作を呼び出すことができるようなシステムが目標とされています。

最適なロボットの形を自動的に

ヒューマノイドロボットは、人間のように多様な作業ができることをめざしたものですが、目的とする作業内容が決まっているなら、それに最適な形というものがあります。例えば四足歩行をするほうが、効率がいい場合もあります。そこで、作業内容から最適なロボットの形を決定し、そこからシステム全体を構築してくれるシステムの研究も行われています。現段階では、ヒントとなるようなロボットの形を人が図示すると、シミュレータの中でそのロボットが動くことができるところまで進んでいます。

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先生情報 / 大学情報

豊橋技術科学大学 工学部 次世代半導体・センサ科学研究所(情報・知能工学系兼務) 教授 垣内 洋平 先生

豊橋技術科学大学工学部 次世代半導体・センサ科学研究所(情報・知能工学系兼務) 教授垣内 洋平 先生

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ロボットシステム工学

メッセージ

自分が考えたものを試行錯誤しながら作って、実際に思い通りに動く様子が見られることがロボットの魅力です。プログラムは同じでも、シミュレーションの中だけで完結するのと、実物が動いているのとでは味わえる感覚が違います。数学、情報、物理と、学んでいるたくさんのことが、どんなふうに現実を動かしていくのかが実感できます。あなたが、体を使って何かをするのが好き、勉強だけだと飽きてしまう、機械が壊れたり動かなくなったりすることも楽しめるということなら、この道に向いていると思います。

豊橋技術科学大学に関心を持ったあなたは

本学は、平成28年10月に創立40周年を迎えた工学系単科大学で、世界に開かれたトップクラスの工学系大学をめざしています。社会産業構造の変化、グローバル化時代に対応した人材育成の要求に対応するため、「基幹産業を支える先端的技術分野」と「持続的発展社会のための先導的技術分野」の2つの柱(5課程)で成り立っています。卒業生・修了生は「実践的・指導的技術者」として日本を代表する企業で活躍しています。