あなたの視線を追跡! ユーザオリエンテッド情報サジェスト技術
役立つ「おすすめ」をするには?
さまざまなWebシステムで、個人の検索履歴に基づいた「関連」「おすすめ」情報を提示するサジェスト機能が実装されていますが、興味のないものを勧められてしまうこともあります。例えば、歴史好きの人が地域の見どころ一覧の中から城や遺跡だけを見ていたとします。この状況から「見どころ一覧ページを見た」という情報だけを使うと、そういう人に近くのスポーツ関連施設を紹介してしまいかねません。
注目情報も活用
ユーザは検索して表示されたページのすべての情報を熟読しているわけではないことを踏まえて、より適切な情報をサジェストする技術が開発されました。ページの中で注目している情報を抽出するために、赤外線を使った視線検出装置(カメラ)で黒目の位置を測定し、画面上のどの位置を見ているかを計測します。0.3秒以上見ていたら注目したと推定して、その位置に表示されている情報を要約して保存します。
さらに画像データも取得して、AIツールを使って内容を言語化します。例えば「東京タワーを下から見上げている」といった画像キャプションを生成します。開いたページの内容も要約してためておき、注目データの要約・キャプションデータと合わせて解析します。重要な単語を拾い出して、ベクトル化と呼ばれる方法でほかの単語との関連性が測れるようにすることで、関連性の高い情報を選択して提示できるようになります。
異なる分野の技術を組み合わせる
この技術を使い、観光情報を対象としたシステムが試作されました。例えば、北海道の観光情報サイトで「五稜郭」に注目していた人には、長野県にある星型の城がサジェストされます。この技術を観光情報以外に適用する研究も始まっています。
画面のどこをどんな順序で見ているかといった情報の活用は、ヒューマンコンピュータインタラクション研究で用いられてきた手法です。明示的に選択した情報を収集・解析するデータ工学的手法と組み合わせることで、より使いやすいシステムを作ることができるのです。
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東海大学 情報通信学部 情報通信学科 講師 星野 祐子 先生
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