相対性理論でドラえもんの世界が現実に?
実験室で小さな宇宙を作ろう
宇宙物理学とは、物理の法則を使って宇宙の現象すべてを読み解いていく学問です。宇宙はどのように誕生し進化したかを考えるにあたっては、アインシュタインが相対性理論を発見したことにより画期的な発展がもたらされました。ずっと不変のものだと信じられていた宇宙が、膨張するものだとわかったのです。それにともないビッグバンやブラックホールの存在が明らかになりました。
現在、相対性理論を使って実験室の中で宇宙を作る研究が進められています。初期の宇宙は、磁石のN極だけ、あるいはS極だけの磁場を持つ「磁気モノポール」が存在する状態でしたが、この状態を実験室で再現し、ある条件下でエネルギーを加えれば膨張が起こり小さな宇宙が誕生するというのが、現時点での代表的な方法の1つです。
残念ながら、ほかの説も含めてまだ理論上の検証を進めている段階で、実現化はしばらく先でしょうが、無限に広がる宇宙の空間を実験室という有限の空間に再現できる、ドラえもんのポケットのような時空構造が研究されているのです。
タイムマシンだって夢じゃない!
身近な例では、携帯電話などで実用化されているGPSも相対性理論を使っています。地上から発した電波を、宇宙に打ち上げられた約30基の人工衛星が発する電波の3つの座標と正しい時計で特定するGPSのメカニズムは、「光や電波の速度はどの観測者に対しても一定である」という考え方がもとになっており、また、各衛星の時計は相対性理論に基づいて時刻同期されています。
実は相対性理論では、タイムマシンのように未来へ行くことが可能です。ただし、過去へ行く手段はまだ発見されていません。相対性理論によれば、光速に近い速度で運動する物体は時間の流れが遅くなるので、高速で宇宙旅行をして地球に戻ってくると未来にたどり着くわけです。このトリックを使ったSF作品もあります。
相対性理論は宇宙のあり方を正確に計算できる方程式を打ち出しました。それによって宇宙の誕生から未来の世界まで考えられるようになったわけです。
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先生情報 / 大学情報
山口大学 理学部 物理・情報科学科 教授 坂井 伸之 先生
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