宇宙で新奇な物質やエネルギーを探すには?
宇宙の9割以上は未知の物質とエネルギー
広大な宇宙には、謎の部分が多く残されています。現在、宇宙の質量は、地球上にはない未知の物質である「ダークマター」が22%、正体不明のエネルギーである「ダークエネルギー」が74%を占めており、地球上にある通常の物質はたった4%にすぎません。今までの宇宙物理学は、アインシュタインの一般相対性理論を基本として考えられてきましたが、この理論では説明のつかない現象もあり、最近は新しい重力理論を確立しようという研究が盛んに行われていて、新しい学説が次々に発表されています。
宇宙空間にある見えない物質を探すには?
一般相対性理論は、空間に物質があると、空間や時間の進み具合がグニャッと曲がり、引力を生み出すということを数式で表していて、それは実験によっても確かめられてきました。つまり、宇宙空間に何かしらの物質があるかどうかを検証するには、空間の曲がり具合を調べればいいのです。
空間や時間のように目に見えないものが曲がっていることを調べるには、光を観測します。時空が曲がっていると、光もまっすぐには進みません。アインシュタインの時代は、皆既日食を利用して太陽の後ろにある星の光がどの程度曲がっているかを観測しましたが、現在ではハイテクの望遠鏡を使って銀河などを観測し、光の曲がり方を測ることで、どこにどれくらいの質量の物質があるのかを確かめることができるのです。
新奇な物質やエネルギーの存在の可能性
宇宙には、通常の物質以外にダークエネルギーとダークマターの2種類しかないのでしょうか。もしかすると、その隙間には予想もつかない新奇なものがあるかもしれません。ダークエネルギーというのは、宇宙全体に広がり、宇宙空間を膨張させている斥力(せきりょく)という外に引っ張る力とされています。宇宙には、同じように斥力を持つ新奇な物質やエネルギーが存在するかもしれません。新しい理論や研究方法での宇宙に関する新たな発見が期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
弘前大学 理工学部 数物科学科 教授 浅田 秀樹 先生
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