太陽光エネルギーで飛ぶ「ソーラープレーン」が世界を変える!
「ソーラープレーン」の秘めた可能性
「ソーラープレーン」とは、太陽光エネルギーを利用した航空機です。昼間に太陽光発電で飛行しながら、余った電力をバッテリーに蓄積し、夜間の飛行に用いることで、理論的には半永久的な飛行も可能です。利用方法としては、通信や放送の中継基地となる空中通信プラットフォームがあります。ソーラープレーンは人工衛星と違い、回収・交換が容易ですし、必要とあれば何機も組み合わせることができます。1機で半径100kmはカバーできますから、人口密度が低くインフラの未成熟なアフリカや南米ならば、1機か2機飛ばすだけで用が足ります。また、災害における被災者の発見や台風、津波、洪水の監視にも使うことができます。
実用化に向けての課題
課題となるのは、機体の軽量化と発電量を高めることです。限られた太陽光発電で飛行するためには、機体を軽量に設計・製造しなければなりません。上空20kmの成層圏に上昇と降下、またジェット気流に耐えうる強度が最低条件です。発電量を高めるには太陽電池を設置する面積を広げればいいのですが、翼を大きくしすぎると機体が重くなってしまいます。そこで、胴体部も翼のような形状にして発電に使うことが考案されました。それにより機体重量とサイズを大幅に減少することができました。
研究は一気に加速中
二次電池と太陽電池を含めるエネルギー技術の進化は日進月歩で、これからも性能が大幅に改善されると見込まれています。また機体にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を用いるなど、素材も改良の余地が大きいでしょう。ソーラープレーンの研究自体は1970年代から模索されてきたのですが、2014年にFacebookとGoogleが開発に着手したことで、インターネット通信利用の実用化に向け一気に動き始めています。太陽光エネルギーは環境に優しく、何より低コストです。ソーラープレーンの実用化は、私たちの暮らしに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
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公立諏訪東京理科大学 工学部 機械電気工学科 教授 雷 忠 先生
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