私たちの体はどのように動く? モジュールで動く筋肉の仕組み
歩くのに必要な筋肉の数は200個!
人間の運動は脳がコントロールしています。脳が筋肉に命令を出して、筋肉が伸び縮みすることで関節が動いて手や足や首が動きます。ただし、全身の筋肉の数は600個以上、例えば歩くのに必要な筋肉は約200個もあるため、一歩進むために1つ1つの筋肉に命令を出していると脳はオーバーヒートしてしまうでしょう。
では、どうしているのでしょうか。私たちの体には複数の筋肉が協調して一つの運動を生み出すまとまり(モジュール)がいくつか備わっていて、脳は1個1個の筋肉ではなく、モジュールに命令を出して運動をコントロールしていると考えられています。脳がモジュールを制御することで私たちの体はスムーズに動くのです。
筋電図で運動モジュールの動きもわかる
「表面筋電図」は、体の表面に電極パッドを貼って筋肉の電気信号をとらえるもので、体を動かしたときに、どの筋肉がどのタイミングで動いているのかが簡単にわかります。その情報から、筋肉がモジュールで動く様子を知ることもできます。
脳が筋肉のモジュールにより運動を制御する仕組みは「運動モジュール」と呼ばれています。運動モジュールについてはまだわかっていないことも多く、さまざまな分野で研究が行われています。例えば人型ロボットの開発では、より人間に近い動きを実現するために運動モジュールの応用が期待されています。
運動モジュールを解明してリハビリに生かす
理学療法(理学療法士が行うリハビリ)の分野でも運動モジュールが注目されています。さまざまな研究から、脳卒中の後遺症で歩行障害がある患者では運動モジュールの働きに問題がみられることが多く、それが歩きにくさや歩く速度に大きく影響していることがわかってきています。また、スポーツ選手のリハビリでは、けがが治り筋肉の機能が回復したのにパフォーマンスが上がらないことがあり、そのようなケースにも運動モジュールが関わっていると考えられています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。