コーヒーは健康に影響する? 生活と病気の関係を探るコホート研究

コーヒーは健康に影響する? 生活と病気の関係を探るコホート研究

生活習慣と病気の関係を探る

人で起きる事象の原因は最終的に人で確認しなくてはなりません。人の集団を対象に健康を探る疫学という方法がありますが、その1つが、「コホート研究」と呼ばれる手法です。「調べたい要素を持つグループ」と「そうでないグループ」に分けて、その後の健康状態を比べます。日本人のがんと生活習慣の関連を探るコホート研究「JACC Study(ジャックスタディ)」では、約11万人を対象に20年にわたり追跡調査が行われました。

コーヒーを飲む人のがんによる死亡リスクは低い?

例えばコーヒーとがんの関係を調べるときは、「コーヒーを飲む人」と「飲まない人」の集団をそれぞれ調査します。JACC Studyの結果から、コーヒーを多く飲む人は肝がんなどの死亡リスクが低いことが明らかになりました。
調査が始まった1980年代当時、日本ではコーヒーを飲むことは健康的な習慣と思われていませんでした。しかし長期にわたるコホート研究や関連する研究の結果から、コーヒーには疾患の発症を抑える可能性があることがわかってきました。JACC Studyではほかにも、テレビの視聴時間などさまざまな生活習慣に関する調査をしています。

調査と追跡、分析の重要性

コホート研究では10年、20年といった長い時間をかけて追跡しますが、最初の調査がとても大切です。まず調査票で家族構成や食生活、運動の頻度などさまざまな項目に回答してもらい、その後の分析の基準とするのです。もちろん、調査内容から個人を特定できないようにするなど、協力者への配慮もしなければなりません。
追跡後には、仮定として挙げた要素と病気の因果関係を検証します。コホート研究では調査対象者の生活に特別な制限を設けず、普段通りの過ごし方をしてもらいます。そのため仮定以外の生活習慣が健康に影響を与える可能性もあるわけです。コーヒーとがんの関係を探るときも、統計学的な手法を用いて分析結果を整えたり、関連する研究などを組み合わせたりすることで、因果関係を確認しました。

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先生情報 / 大学情報

北海道大学 医学部 医学科 教授 玉腰 暁子 先生

北海道大学 医学部 医学科 教授 玉腰 暁子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

医学、公衆衛生学、疫学

先生が目指すSDGs

メッセージ

どのような分野の研究も無駄にはならないので、好奇心を持って大学に飛び込んできてほしいです。研究では多様性も求められるので、視野を広げてさまざまな分野に関心を持ち見聞を広げることも大切だと思います。
例えばコホート研究は、研究者だけでなく医療関係者や行政担当者とも協力して取り組むため、医学以外の視点も役立つはずです。大学ではほかの学部の学生と交流する機会を持つのもいいでしょう。ひとつの分野を極めることはもちろん、社会のさまざまな出来事に関心を持ち、多くの人と接することも研究の糧になると思います。

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北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。