脳卒中予防にウェアラブル端末を! 歩数を知ることから始めよう
退院後も活動的に過ごすには
脳卒中の患者は、入院期間中に身体機能の回復のためにリハビリテーションを行いますが、それ以外の時間は動く機会がほとんどありません。すると、入院中に身体活動量が低下してしまい、退院してから疲れやすくなってしまったり、それが原因で家に引きこもってしまったり、精神的に落ち込んでしまったりと、さまざまな悪循環が生じます。また、脳卒中は比較的軽症であっても、生活習慣を見直さなければその後の再発リスクが高いものです。入院中からリハビリテーション以外の時間の生活の中で、少しでも身体活動量を増やすことで、退院後も活動的に生活して再発も予防できると考えられます。
ウェアラブルデバイスの活用で歩数アップ
身体活動量を増やすための手段として注目されるのが、ウェアラブルデバイスです。患者にウェアラブルデバイスを装着してもらい1日の歩数をモニタリングした場合と、何もしなかった場合とでは、モニタリングした患者の方が1日の歩数が2,500歩も増加しました。1日ごとに詳しい目標を立てて患者と共有し、振り返りをすることで、患者のモチベーションがアップしたと考えられます。自分で自分の身体活動量を把握して管理できるようになることは、退院後の健康的な生活につながります。
健康的な生活は自分の身体活動量の把握から
再発予防のために患者自身で身体活動量を管理する手法は、実は以前から心疾患の分野では行われていました。しかし、これまで脳卒中のリハビリテーションは「機能回復」がメインだったため、再発予防のためのリハビリテーションに関する研究はあまり進んでいなかったのです。この方法なら、専用の機器を必要としないので手軽に誰でも自分の身体活動量を管理できるようになります。
ウェアラブルデバイスの活用は、脳卒中の患者だけでなく、その前の段階である生活習慣病の患者や、健康な方に対しても、将来的な病気を防ぐための方法として期待されています。
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金沢大学 融合学域 スマート創成科学類 准教授 金居 督之 先生
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