携帯電話の電波が目に見える!?
携帯電話の音声は電波でどう伝わっていくの?
「いま携帯の電波がよくない」という言葉が使われるように、携帯電話は電波によって音声を伝えています。電波とはどういうものでしょうか。音は空気の粒子の振動で伝わりますが、電波は空中の電界と磁界の変化で伝わっていく特性を持ちます。そのため、空気のない宇宙空間で音波は伝わりませんが、電波は伝わるのです。
ちなみに携帯電話で海外の人と話しているからといって、その携帯電話が発した電波が直接海外まで届いているわけではありません。電波は最寄りの基地局までしか届いておらず、基地局から先は有線でつながっているのです。逆に、ごく近い者同士でやりとりしていても、その電波はいったん基地局を経たものになります。
携帯電話の電波の課題
携帯電話の電源を入れると、最初に電波は四方八方に飛んでいき、近くに基地局がないかを探します。基地局まで遠かったり、山奥や地下などで基地局が見つからなければ「圏外」と表示されます。だから基地局ではどこに携帯電話を持っている人がたくさんいるかを把握して、電波の強さを調整しなくてはなりません。携帯電話の会社では、車を使って移動しながら電波の弱いところをチェックしたり、あるいはユーザーからの情報で携帯電話の電波の状況を調べています。特に都市部では新しくビルが建つと、そこに今までなかった「電波の影」が生じることがありますから、アンテナの調整や基地局の増設を検討しなくてはなりません。
電波を立体的に可視化してみよう!
そこで、目に見えない電波がどう伝わっていくかを可視化する研究が進められています。コンピュータで電界と磁界の強さを色分けして表示したり、進行方向や電磁界の向きをベクトルで表現したりします。電波の強いところと弱いところがわかるだけでなく、電波が反射して曲がって進む様子もアニメーションでわかるので、電波に対する理解も進みます。次にどこに基地局を建てるかとか、どのようなアンテナがいいかの検討材料として、とても有意義なものと期待されています。
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中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 教授 白井 宏 先生
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