そのデザインは誰のため? プロダクトデザインに必要なこと

そのデザインは誰のため? プロダクトデザインに必要なこと

生活を豊かにするための道具のデザイン

私たちの身の回りにある、ペンやノート、コンピュータ、テレビ、時計、携帯電話、机に椅子、自転車や自動車など、あらゆるものはプロダクトデザインによって形作られています。プロダクトデザインとは「先に導く方法」という意味を持つ言葉ですが、私たちの周囲にある生活を豊かにするための道具を作ることが、プロダクトデザインであると言えます。そしてそれゆえに、プロダクトデザインは、私たちの社会と非常に深くつながっている存在であるとも言えます。

プロダクトデザインにとって大切なこと

日本でデザインの道を志して学んでいる人たちの多くは、デザインのためのツールセット(道具)には恵まれていますし、それらを使いこなすためのスキル(技術)も持っています。しかし、「それで何をしたいのか?」という「マインドセット(思考、考え方)」の部分が、日本人には希薄な人が多いようです。「何のために、誰のために、それをデザインするのか?」という、プロダクトデザインにとって最も大切な部分を、デザインストーリーとしてきちんと突き詰めて考えることができていないため、それをほかの人に伝えることも、実際のものづくりに反映させることもできないという場合が、よく見られます。

外の社会で仕事に結びつくことを意識する

学校でデザインを学んでいる間に、それがやがて外の社会で仕事に結びつくかもしれない、というところまで意識するのは、なかなか難しいかもしれません。しかし、プロダクトデザインを学ぶのであれば、その先にあるかもしれない「仕事」という存在を意識した上で、それが誰のために、何のために役立てられるプロダクトになるのかを、とことん考え抜かなければなりません。「自分が作り出したもので、みんなが生き生きと暮らしていけるような国にしていきたい」、それくらいの夢を持って取り組んでいくことが、これからの社会を担うプロダクトデザインには必要となるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

多摩美術大学 美術学部 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 教授 和田 達也 先生

多摩美術大学 美術学部 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 教授 和田 達也 先生

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プロダクトデザイン学

メッセージ

プロダクトデザイン専攻では、身の回りにある生活を豊かにする道具のデザインを学びます。
プロダクトデザインを勉強して将来仕事に就くには、どんな仕事をしたいかを考えて、そのための自分づくりをしながら、自分の理想とするビジョンを持つことが必要です。そのために私たちは、入学から卒業までの間に、学生のみんなと一緒になってそれぞれのビジョンを作ることを研究しています。私の講義を聞いたり、一緒に話をしたりする中でヒントを見つけてもらえればと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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1935年の創立以来「自由と意力」を理念とし、社会に数多くの優れた芸術家やデザイナーや教員を輩出し続ける、日本を代表する美術大学のひとつです。大学院と美術学部のある八王子キャンパスでは約4,000人の学生が学び、作品制作する上で理想的な施設・設備を整えています。