ビッグデータ時代を担う次世代の「統計学」に必要なものとは?

ビッグデータ時代を担う次世代の「統計学」に必要なものとは?

統計学とは、国家の姿を映し出す鏡

一口に「統計学」と言っても、もともとは国家の情報を調べたり、経済の動向を分析したり、また賭けの世界の確率計算に使われたりするなど、起源はさまざまです。なかでも経済学における統計の本質は、社会の実態や現実の姿をできるだけ数字として浮かび上がらせることです。経済の統計と聞くと、主に企業のマーケティングなどで使われているイメージがあるかもしれませんが、実は国が作成する基礎統計こそが、統計情報の根幹です。そのまわりに大学機関の中で学術的に行われている統計学や企業が用いる統計処理があり、その先にビッグデータがあります。

時代とともに移り変わる統計学

「ベイズ統計学」は、理論的には200年以上も前に発見されていましたが、長らく重要視されていませんでした。しかし学習によってどんどん賢くなるというその機能が、1990年代から計算機科学の発展を背景に急速に注目を集めるようになり、21世紀の情報科学の大事な要素になりました。googleの検索エンジンなどにも使われています。
いまやGPS情報や監視カメラの映像、スマートフォンの電子マネーなどあらゆるものが電子化・情報化された社会であるとともに、その情報を解析する技術も同じように進化しています。統計学も、大きな変化の潮目に当たっていると言っていいでしょう。

ビッグデータ時代の新しい考え方

統計学では、少ないデータのサンプルから社会全体の姿を見るために統計的な数学モデルを駆使しますが、ビッグデータの場合はデータ量が多いため、データ自体がある程度実態そのものの近似情報を与える可能性が増してきます。理論的というよりは、実践的に事例が積み重ねられているのがビッグデータの世界であり、従来の統計学のように数学的な視点よりむしろ「何を見るか」という感覚を身につけることの方が重要です。
人物関係の分析やネットワーク分析など統計学で処理できるデータが増えている今、社会科学や経済学の分野にこそ統計的な視点が必要とされているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

中央大学 経済学部  教授 坂田 幸繁 先生

中央大学 経済学部 教授 坂田 幸繁 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

統計学

メッセージ

現代は結果が求められる時代です。受験勉強をしていると、今のあなたから未来に向かって道が延びていて、その途中にある課題を一つひとつクリアしないと次に進めないように感じることもあると思います。
しかし、生きること自体はプロセスであって結果ではありません。そのプロセスの断面のどこかを切ったものを結果と呼んでいるだけですから、途中で行き詰まっても大丈夫です。迷子になっても、結局は今歩んでいる道に必ず戻ってこられますから、「これもプロセスの一つなんだ」と考えて前に進んでください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中央大学に関心を持ったあなたは

中央大学は、1885年の創立から「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神のもと、実社会が求める人材を育成する実学に取り組んできました。社会の課題に応える人材育成をめざし、豊かな教養、異文化を理解する力など、幅広い人間力の形成をめざす教育とともに最先端の学問を追究しています。熱意あふれる教員たちから生きた知識を吸収し、キャンパス内で多様な学生たちが切磋琢磨しあい、留学制度などを活用して社会を知る。中央大学は、社会に通用する実学を修得できる大学です。