「プラズマ」とは? そこにある可能性とは?
プラズマは一種の大きなエネルギー源
物質は、温度に応じて固体、液体、気体と姿を変えます。そこにさらに大きなエネルギー(広い意味での熱)を加えると、物質を構成する原子(または分子)から電子が外れて、イオンと電子に分かれて自由に動き回りながら空間に存在する状態になります。これが「プラズマ」です。例えば雷やオーロラなどもプラズマで、それは一つのエネルギー源であり、一般的な気体(水蒸気など)よりも膨大なエネルギーを持っている状態と言えるでしょう。
多分野で研究・活用が進む技術
プラズマの利用方法を探る際には、プラズマと物質を触れさせて起こる何らかの効果を期待して行う「プラズマプロセッシング」という技術が活用されます。そこでは、プラズマを人体に影響のない程度まで低温化すると肌のシミを取ることができるのではないか、がん細胞を死滅させることができるのではないかなど、さまざまな分野での研究が進められているのです。また、植物の種にプラズマを当てると発芽率が上がることは農学領域でよく知られており、実用化に向けて動き始めています。
さらにプラズマを「知る」
ただし、思うようにプラズマを活用するには、プラズマ内に含まれる電子やイオンの量、その温度や圧力を詳しく知る必要があります。そのため、プラズマ内のイオンや中性原子の量を瞬時に測るための新しいプラズマ診断の装置が開発されつつあります。また、プラズマを応用したスパッタリングというコーティング技術は、硬くて滑らかで密着度が高く、摩耗しにくく耐久性を必要とする切削工具の先端や自動車のエンジン、宇宙空間へ飛ばすロケットなどの部品へのコーティングに用いられています。スパッタリングを制御して上手にコーティングを行う上で、プラズマ診断の装置は不可欠となっています。それらを可能にする高精度化されたプラズマ制御やプラズマ診断の装置開発には、大きな期待が寄せられています。
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先生情報 / 大学情報
東京工芸大学 工学部 電気電子コース 准教授 實方 真臣 先生
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