半沢直樹の父は救えた! リーガルマインドが企業や国を救う
企業活動では、プレーヤー間で利害が対立する
企業が経済活動を行うと、さまざまな当事者(プレーヤー)間で利害が対立します。例えば、経営者は経営能力を問われますし、株主は自分が投資したお金が利潤をあげているかを見ています。従業員は自分たちの働きが売り上げに貢献しているという主張をし、賃金アップを望みます。さらに銀行は、貸したお金がきちんと返済されるか、企業経営がうまくいっているか目を光らせます。またこれからの時代は、海外の企業との利害対立も一層増えていくでしょう。
「ルール競争」に負けないために
そうした利害が対立する当事者の間で、紛争を解決するために「法律(ルール)」というものが存在します。わかりやすい例えとして、オリンピック競技の「スキージャンプ」があります。1998年の冬季長野オリンピックでは「日の丸飛行隊」と呼ばれ、個人・団体とも金メダルをとるほど最強軍団でした。しかしその後の大会では、日本選手に不利な「ルール改定」が行われ、なかなか勝てない時代が続きました。日本は、多国籍間での「ルール競争」に負けたのです。企業活動もまったく同じで、ルール競争で負けないように、おかしな主張をする人が勝たないように、法律家がリーガルマインド(法律家らしく物事を考えること)を駆使して、当事者間の利害を調整するのです。
半沢直樹の父親が、法律家を頼っていたら……
テレビドラマ『半沢直樹』を観ていた人は多いかもしれません。半沢のお父さんは、小さな工場を経営していて資金繰りに行き詰まり、銀行からの借り入れを断られたことで悲しい結末を迎えました。銀行しか頼るところがないと考えたところが間違いで、もしこのお父さんが法律家を頼っていたら、工場をよみがえらせる方法はほかにもあることを知り、違う結末になったかもしれません。
このようにリーガルマインドを駆使して、国や企業がルール競争に勝ち残っていくための方策を考えるのも法律家の役割なのです。
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先生情報 / 大学情報
中央大学 法科大学院 教授 野村 修也 先生
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