経営者は“管理会計”で企業経営を判断する
2つの会計
経済活動があるところには会計があります。古くは古代エジプト時代から、税金の記録がつけられていました。現在は、財務諸表という統一ルールにのっとった表で、企業の経済状態を知ることができます。
そして、会計学には投資家など不特定多数の人に向けた財務会計と、経営管理者に向けた管理会計の2種類があります。
ラーメン屋さんはどうすべき?
管理会計を理解するために、あるケースを考えてみましょう。あるラーメン屋さんが、製麺機をリースで借りています。リースは10年契約で、リース料金は毎月2万円です。1か月に売れるラーメンは2000杯で、麺の材料は1食あたり100円なので、リース料も含めれば、麺の原価は1杯110円です。
そこへ、製麺業者が「麺の既製品をうちから買いませんか。1杯分105円にしますよ」と提案してきました。さあ、どちらが得でしょうか(味は同じで売り上げは変わらないとします)。5円安くなるので、買ったほうが得でしょうか?
いいえ、問題は製麺機のリース料です。リースの契約がまだ残っている期間は、使わなくても毎月2万円は払い続けなければなりません。正しく判断するには総額で考えるのです。現状では110円×2000杯で22万円ですが、提案だと105円×2000杯で21万円、それにリース料を加えて23万円です。つまり、1杯分115円となります。ですからこのまま製麺機を使い続けるのがよい判断なのです。これを管理会計の中の差額原価収益分析と言います。
会計は羅針盤
しかし、「既製品にすると麺を作る時間が空くので、その時間で餃子を作ったらどうだろう」と、一段深く考えることもできます。このように余った時間や人、機械を有効に使ってもっと利益を上げられないかを考えるのが経営者です。
そのような判断をするのに、会計学は欠かせません。会計は羅針盤のようなもので、会計学を知らずに企業に飛び込むのは海図も羅針盤も持たずに沖に船を出すようなものです。企業活動でよりよい方向に進むために、会計学は欠かせないものなのです。
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