算数の授業で子どもたちの考える力を育てるには?
答えを教えるだけでは考える力は育たない
小学校の算数の授業で問題を出すと「先生、早く答えを教えて」と言う子どもと、「じっくり考えるのが楽しいから、答えは言わないで」と言う子どもがいます。前者は考える時間は無駄で、先生が答えを知っているのだから教えてもらうのが一番いいと思っているのです。算数が正確さや速さを競うだけのものならば、それでいいのかもしれません。しかし、それでは「習っていないものは、できない」ということになってしまいます。「考える」とは、まだ習っていないことを自分がこれまで得た能力を使って試行錯誤しながら解決しようとすることです。言われたことはするけれど、言われたこと以外はしない子どもが増えています。自分で考えることを身につけるにはどうしたらいいのでしょうか。
考えさせるための発問の工夫
考えるという行為を子どもたちの中に呼び起こすには、問いかけの仕方が大切です。
例えば「1/2+1/3」という分数の足し算の解き方を習っていない子どもに対して、単に「分母を揃えてから計算をする」と教えるのではなく、既習の内容を振り返るような問いかけをしていけばいいのです。「これまで似た問題はなかったか」と問うことで、既習の中から探すという行為につながります。そこから「分母が同じ足し算はやったことがある」「分母が違うからこの計算はこのままではできない」という考えに至り「分母を揃えればいい」という結論に達するのです。
間違えることも大事
同じ問題でも「何が何だか全くわからない」と「ここがわからない」では雲泥の差があります。どこに目をつけたかというのは考える上での大きなポイントになるのです。わからないからすぐポイと捨ててしまうのではなく、何がおかしいのかを見つめ直し、たたき台として生かそうとすることが良い試行錯誤となり、考える力が養われていきます。「わかる」というのは「そうであるもの」と「そうでないもの」の境界が見えることで初めて成り立つものです。間違えるからこそ、正しい答えへの理解が深まるのです。
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