数字に隠された企業の秘密を、「会計学」で解き明かす
会計学は、デキるビジネスパーソンに必須の知識
会計は、ひと言で表すと「会社の通信簿」です。学生であれば常に成績は良く見せたいでしょうが、企業は認められた会計ルールの範囲内で、目的に合わせて業績を良く見せたり悪く見せたりします。
例えば、「法人税」という税金をあまり払いたくない企業は利益が出ていないように見せ、業績の苦しい企業は利益が上がっているように見せる傾向があります。そうした企業の動機と行動を、会計数値から読み解くノウハウを学ぶのが会計学であり、英語、パソコンスキルとともにビジネスパーソンの三種の神器となっています。
「名経営者」が用いる会計のからくり
会計を理解していると、会計数値のからくりもわかるようになります。ある大手メーカーを例に見てみましょう。この会社はある年、早期退職を募るなどして巨額の特別損失を計上しましたが、翌年にはV字回復を果たし、その経営手腕は高く評価されました。しかし、会計学の見解は異なります。
会社は、将来支払うべき退職金をその年に一気に払いました。ですから、多額の退職金を払う必要のない翌年以降、業績が回復するのは当然なのです。会計学ではこの行動を「企業にたまった損失を洗い落とす」という意味から、「ビッグバス(大きな風呂)」と呼んでいます。
会計を理解すれば、企業の裏事情も見えてくる
会計がわかると、企業活動の狙いも見えてきます。2002年2月、ある大手スーパーは、9割引セールを開催しました。表向きは在庫処分ですが、会計学的に見ると、少しでも会計数値をよく見せようとした苦肉の策であることがわかります。というのもその前年、制度改正により、各企業は現金収支での黒字・赤字がわかる書類作成の義務が課せられたからです。このスーパーは手元に現金がなかったため、少しでも現金を回収しようと、このような暴挙に出たのです。そんな裏事情がわかるのも、会計学のおもしろさといえるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
追手門学院大学 経営学部 経営学科 准教授 宮宇地 俊岳 先生
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