東インド会社も作成! 会社や出資者の行動を左右する会計情報

東インド会社も作成! 会社や出資者の行動を左右する会計情報

決算書に記載する会計情報とは

17世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパの国々はアジアとの貿易を独占するために東インド会社を設立しました。その頃から会計情報は作成され利用されてきました。経営成績や財政状態など企業の会計情報が記載された決算書は、企業の「成績表」のようなものです。その分野には、企業の経営を効率的に行うための会計情報の利用に関する「管理会計」と、企業の財政状況や経営成績を外部に報告する「財務会計」があります。「財務会計」情報は、投資家や債権者、取引先など、企業の利害関係者が利用します。

会計情報が企業や出資者に与える影響

財務会計の研究には、会計情報が世の中に役立つためにどうあるべきかを研究する分野と、公表された会計情報がどのように作成され、利害関係者に利用されているかという実態を研究する分野があります。東インド会社は、出資者から資金を集めて貿易を行いました。会計情報は、約束通りの働きをしたことを航海の業績で証明したい会社側と、投資額に見合った分前を受け取るために正確な業績を知りたい銀行や出資者、双方にメリットがある資料だったのです。
しかし、企業側は、会社の成績を実際より良く見せるために会計情報をごまかそうとする場合があります。利益を過大に計上する粉飾決算や会計不正はどのような場合に起こるのか、データを分析して実態を解明する研究が行われています。

企業が作成する決算書類のうそを見抜く

企業が決算書類でうそをついていると、銀行や投資家は、融資や投資のために、決算書類を安心して利用できません。決算書が適正に作成されているかを判断するために、監査が行われます。過去に監査人が企業側と親しくなり、企業よりの判断をしたおそれのある事例がありました。そのため、企業と監査人との関わりの長さについても研究されています。長いほど監査の質は向上しますが、慣れにより漏れが生じたり、企業と親しくなるにつれ厳しい監査がしにくくなる可能性もあります。これらの実態を解明するための研究が行われています。

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神戸大学 経営学部 経営学科 教授 髙田 知実 先生

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メッセージ

世の中には、インターネット等を通じてさまざまな情報があふれています。中には真偽がわからない情報もありますが、拡散されるとそれだけで信じてしまう人もいます。会計学には、「情報発信する側に、どんな理由や目的があって情報開示をしているのか」を研究する分野があり、適切に情報を利用するヒントを学べます。情報に接した時、「なぜそこに公開されているのか」「誰が何の目的でつくったものか」を、考えてみてください。誤った意思決定をしないために、情報を見極める能力を身につけましょう。

先生への質問

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