経営工学的アプローチで地場企業を救え
ポイントカードで生産効率アップ
2013年10月の会員数が「Tカード」は約4700万人、「Pontaカード」は約5800万人を超えました。都市圏の大企業はポイントカードを使って購買データを収集し、生産管理や在庫管理に反映させています。解析技術の発達により、例えば、どんな商品がよく一緒に購入されるかなどがわかるようになったため、生産効率は確実に上がっています。またこれらの企業は培った経営手法を工学的に体系化し、品質管理や安全管理にも生かしています。一方で、地方に根差した地場企業には、昔ながらの経営をしている企業も少なくありません。
日本企業=高品質は過去のもの?
地場企業は厳しい状況に置かれています。人口減少により製品を購入する人が減り、勝負しようにも品質やコスト面で遅れを取ってしまうことが多いからです。資金や機材の不足などさまざまな理由が考えられますが、最も大きいのは情報量でしょう。
品質管理の進歩に功績のあった団体や個人に贈られるデミング賞は、2011年、2012年とインド企業が席巻しています。もはや「高品質」は、日本企業の専売特許ではないのです。インドや東南アジアの製造業が躍進したのは海外に生産拠点を移した大企業がノウハウを注ぎ込んだためで、その結果、地場企業が不利益を受ける形となりました。
地場企業が生き残るには
画期的な製品を開発するなど、本来は自社だけで状況を打破できればよいのですが、コストやリスクを考えると難しいでしょう。そうなると特に製造業であれば、いかに大企業に部品を供給する立場になれるかが経営の鍵を握っています。基本的には国内の生産を縮小させている企業の方が多いですが、例えばトヨタは売れ筋商品である「アクア」の生産を岩手県で行っており、周辺の地場企業の経営状態も良好です。生産効率や品質を向上させるだけではなく、上向きになっている産業や将来性のある産業を見抜いて食い込んでいくことが、地場企業にとっての勝ち残る方法だと言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
秋田県立大学 システム科学技術学部 経営システム工学科 教授 嶋崎 真仁 先生
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