21世紀のキーテクノロジー 「超伝導」
リニアは超伝導でなければできない
電気抵抗が0になることで熱損失がなく電流を流すことができる利点をもつ超伝導体には、いろいろな応用が考えられます。なかでも輸送の分野とエネルギーの分野は、私たちの生活の利便性を飛躍的に向上させる可能性があります。
輸送分野での応用例として代表的なのは、超伝導リニアです。超伝導リニアは車両に搭載された超伝導磁石と地上コイルの間にできる磁力によって、車両を10センチほど浮かせ走行します。車輪とレールのような物理的な接触がないため、高速化が可能です。しかし、車体のような大きなものを浮かせるには、強力な磁場を形成する必要があり、それができるのは超伝導磁石だけなのです。
コイルに電気を貯めておく
エネルギー分野では、超伝導技術を用いたSMES(スメス)と呼ばれる電力貯蔵装置の実証試験が行われています。電気の弱点は長い時間、大量に貯めておけないことですが、SMESの仕組みは、大きなコイルを地下に埋めて、電流を流して磁気エネルギーとして貯蔵するというものです。超伝導は電気抵抗が0であるため損失なく貯蔵できるのが最大のメリットです。さらにSMESの先には、世界を超伝導ケーブルでつなぐ「地球超伝導ケーブルネットワーク」という夢のような構想もあります。
超伝導でエネルギー問題は解決する!?
近年、太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目されています。太陽光は夜間に発電できないのが弱点ですが、地球規模で考えれば、地球上の半分は太陽光に常に照らされているので発電ができます。
これについては、サハラ砂漠の4%くらいの大きさの太陽光パネルがあれば、世界中の電力がまかなえるという興味深い試算もあります。そして世界の電力網が超伝導ケーブルでネットワーク化されれば、地球の裏側まで電力を届けることができます。何ともスケールの大きな話ですが、決して夢物語ではありません。現在でも光ファイバーが太平洋を横断しているのですから、超伝導ケーブルを張り巡らせる可能性もあるのです。
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