宇宙開発に不可欠! 長距離を高速でつなぐレーザー通信
宇宙開発を支える高速通信技術
現在、月や火星を対象とした宇宙開発計画が世界中で活発に検討されています。その宇宙開発に欠かせないのが高速通信技術です。特に、従来の無線通信に使われている電波よりも高速でかつ長距離の通信が可能な「レーザー光」を使った技術開発が進められています。レーザー光は、電波に比べて波の振動が格段に速いため、1秒当たりに届けられるデータ量が桁違いに多いのです。レーザー光を使った通信技術は、人工衛星間や人工衛星と地上をつなぐ宇宙通信で実用化されつつあります。また、飛行機やドローンといった高速移動体との無線通信に適用するための研究も行われています。
宇宙通信の実用化に向けた取り組み
宇宙と地上をレーザー通信でつなぐ技術研究で、通信装置の仕組みや信号の送り方についての研究が行われています。まず理論的な検討をするためにシミュレーションを行い、その理論設計に基づいた装置を作り、実際に通信実験を行う、といった流れです。レーザー光は従来の電波に比べて大気の影響を受けやすいため、影響を受けにくい通信システムを作ることが研究目的のひとつです。またレーザー光は雲に遮断されてしまうので、雲を回避するための対策が必要です。これには、すでにある地上の高速通信網の上にいくつかの宇宙通信局を設置して、雲のかかっていない局から通信するという方法が検討されています。
海の中にもレーザー通信を
高速移動体への無線通信では、大気の影響対策に加えて通信装置を小型化する研究も行われています。今あるシステムのまま小さく作るだけではなく、電気系統の装置などを「光情報処理」という新しい仕組みに置き換えることが考案されています。
また、水の中は電波での無線通信が非常に困難です。現状では有線通信のワイヤーを接続して海中活動が行われていますが、効率が悪く危険でもあります。資源開発など、海中での活動の活発化にともない、水中で使える光通信システムの開発も必要とされています。
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東海大学 情報通信学部 情報通信学科 教授 高山 佳久 先生
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