さまざまな場面で使われる光三次元計測技術
製造物の品質管理に有効
物体に光を当て、その形状を立体的に測定するのが光三次元計測です。製造業界では、設計通りに製品ができているか、破損はないかなどの品質管理に使われています。
インフラ構造物にこの技術を用いると、老朽化した部分を発見することができます。例えば、さびた鉄や老朽化したコンクリートの形状を計測することで破損する危険のある箇所の発見につながります。橋、トンネルなど構造物の安全確認は現在、多くが目視で行われていますが、三次元計測の装置を小型化してドローンに搭載すれば、高所もチェックすることができます。
ロボットや航空宇宙などの領域でも
この技術は、人が行けないところ、危ない所で確認作業ができるという点で、ロボットや航空宇宙などの領域でも応用されようとしています。ロボットが障害物を認識したり、宇宙空間でパラボラアンテナが正しく広がっているかを確認したりするために、三次元計測は有効です。
このような多様なニーズに応えるため、さらに新しい計測技術が求められています。三次元計測のやり方として、プロジェクターから縞模様の光を対象物に当て、それをカメラで撮影する方法がよく使われています。投影する光の位相情報と空間座標のデータベースを作ることで、高速でさらに高精度にもなります。ちょうど今開発中の最新の方法では、プロジェクターで3方向から投影して得られる3つの位相値を使うことで、カメラが動いたとしても精度よく三次元計測が行える手法です。これでいままで使えなかった振動が大きな場面でも使えるようになり、ますます用途が広がります。
課題は振動・温度変化と対象物の反射光
三次元計測では、振動や温度変化などの影響を受けないようにすることと、対象物の反射による誤差が出ないようにすることが課題です。これらの課題を解決することで、実用可能な計測対象はさらに広がります。ハンディタイプの計測機器も完成していますので、研究の成果は、より幅広い用途に生かされていくでしょう。
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福井大学 工学部 機械・システム工学科 教授 藤垣 元治 先生
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