大切なデータを守る、アクセス制御技術
情報は意外なところから漏れている
大切な情報が漏れてしまった、そんなニュースを、よく目にします。「誰もがインターネットを使う時代だから、ウイルスなどでデータを盗まれることがあるのも仕方がない」などと考えるのは実はとんでもない誤解です。
ある統計によれば、情報漏れの4分の3ぐらいは人間のミスによるものです。例えばパソコンを誤って操作したり、印刷した書類をどこかでなくしたりするのが原因です。ウイルスによってデータが漏れるのは、わずかに全体の2%程度にすぎません。データ漏れに関しては、USBメモリをどこかに置き忘れるなどのほうが、はるかに多いのです。
アクセス許可と拒否をリストで管理
まず人間のミスを防いだ上で、データ漏れを防ぐために、サーバーなどへのアクセスを制御する技術が開発されています。これは特定の人だけをアクセスできるようにする方法と、アクセスさせたくない人をはねのける方法の二通りがあります。技術的にはケータイの着信拒否と同じようなものです。
いずれの場合も、ポイントになるのはリストです。リストを作る時点でミスが起これば、いくら精密なシステムを導入していても、漏れがでてしまいます。まず元になるリストをできる限り慎重に作ることが必要です。
正しいリストを、人の手を加えず再利用する
例えば従業員1万人ぐらいの企業で、アクセス制御用のリストがあるとします。このリストで、これまでは社内サーバーAにアクセス制御をかけていました。そこに新たにサーバーBを導入することになった場合、どうすればいいでしょうか。サーバーAとBでアクセス制限の様式が同じなら問題はありません。しかし、様式が異なる場合は、A用のリストをBでも使えるように書き換える必要があります。かといって書き換えに人の手を加えてはミスが出る可能性があります。
そこで開発されたのが、隣接行列(高校で習う数列の上級版)を使った方法です。アクセス制御のリスト自体が数列を使って書かれていることが多いので、変換技術にも数列が使われているのです。
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関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 准教授 河野 和宏 先生
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