災害準備を日常に取り入れる! 「ライフスタイル防災」のススメ
短期間だけの防災対策はあまり意味がない
大災害が起こるたびに、「災害に対する備えを万全に」「防災意識を高めよう」などの声が高まります。確かに災害直後は防災への関心が高まり、準備や対策をする人がどっと増えます。しかし、防災準備はあまり構えてしまうと長続きしません。食料備蓄にしても、保存食は数年で消費期限が切れます。そのたびに食料品を入れ替えるのは非常に負担ですし、いつしか防災袋の中身もほったらかしになってしまいます。そもそも災害は、100年~150年のスパンで起こると言われているので、数年だけ完璧な防災対策をしてもあまり意味がないのです。
災害への準備を日常にするコツ
例えば飲料水を家庭で備蓄する場合、いつ使うかわからない大量のペットボトルを買い置きするよりも、計10~20リットル分のペットボトルを買っておいて、ふだん消費しながら減った分を補充していけば、飲料水の備蓄が日常となり長続きします。鍋料理に使うカセットコンロがあると、お米と水を備蓄しておけば緊急時の炊事ができます。アウトドアを趣味にするのも防災対策には効果的で、キャンプ用品や寝袋が家にあると災害時のサバイバル生活に役立ちます。このように日常生活の中で自然に災害への備えができることが理想なのです。
マイルドな啓発が実は効果的
行政など防災対策を呼びかける人も、「災害は恐ろしい」と広報しがちですが、ほとんどの人は「恐ろしい」と言われると逆に目を背けて対応しなくなることが心理学的にわかっています。タバコは健康によくないと言われても「自分には関係ないよ」と吸い続ける人がいますが、世の中全体が禁煙の風潮になると、じゃあやめようかな、という人が出てきます。楽しみながら習慣を変えるように、ソフトに促すことが人々を防災へと動かします。また、必要以上に心配するより、文明に頼り過ぎないシンプルなライフスタイルに慣れておくことが、いざという時に生き延びるコツかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 教授 元吉 忠寛 先生
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