医薬品や化粧品、調味料、微生物から作られているものがたくさん!
微生物は幅広く活用できる!
微生物には、カビや酵母、乳酸菌、ビフィズス菌など、さまざまな種類があります。私たちの身の回りには、その生産に微生物を利用しているものがたくさんあり、微生物からできる製品の国内市場規模は、年間約6兆円にも上ります。微生物は、お酒・パンをはじめ、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、みそ・みりんなどの調味料、ワクチン・抗生物質などの医薬品や化粧品の原料などを作るときに使われています。特にパンなどに用いられる酵母は、日本で年間約4万トンも作られています。
微生物の働きをコントロールして、生産効率を向上
例えば、料理の味を左右するうま味成分の「グルタミン酸」は、本来昆布からとれるものですが、市販の調味料の多くは微生物を活用しています。サトウキビから抽出したぶどう糖、アンモニアなどを原料にして微生物に「グルタミン酸」を作らせているのです。栄養分と温度を上手にコントロールすることで、微生物を上手に増やし、目的物質を効率よく生産することができます。条件を整えてやると、微生物は最短で15分ほどで1回分裂することができ、数時間で数百万倍に増やすことができます。また、市販の洗剤などに用いる酵素の生産においては、研究を重ね、100~1000倍にまで生産性を上げています。
花粉症に効果的な乳酸菌の生産性をアップ!
ヒトの腸には、約100兆個もの微生物が存在し、その重さは1kgにもなります。その中のいわゆる善玉菌である乳酸菌は、腸内の免疫細胞を活性化することで、免疫のバランスを整え、アレルギーを緩和できます。このような乳酸菌をたくさん摂取したいところですが、乳酸菌は、糖を乳酸に変え、自分が作った乳酸によって死んでしまうので効率よく培養できません。そこで、乳酸を作らせずに培養する研究に取り組んでいます。 これができれば、乳酸菌に抗菌効果のある有用な成分を効率よく生産させることもできるようになります。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 教授 片倉 啓雄 先生
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