アイドルの言動が、組織と人間の関係を浮き彫りにする
ブログに表れるアイドルの本音分析
AKB48、乃木坂46のような多人数のアイドルグループでは、新曲が発売されるたびに中心で歌う「センター」が入れ替わったり、また、メディアに出るメンバーが「選抜」されたりするなど、メンバーは常に過酷な競争の中に置かれています。その中で、メンバーはどんなことを考え、行動しているのか、それを科学的に分析しようという研究があります。
アイドルグループでは、メンバーがブログやSNSで発信することが多いので、ブログに書かれた文章をテキストデータとして取り出し、「テキストマイニング」という手法で分析します。時間の経過の中での表現の変化、キーワードの登場頻度や関連性などを解析することで、メンバーの本音や心境の変化を類推することができます。
マネジメントのヒントとして
例えば、あるメンバーは新人の頃にセンターに抜擢された後、徐々にポジションを下げて、さらに選抜落ちも経験しましたが、その後でフロントまで復帰するなど、めまぐるしい状況の変化がありました。彼女のブログを分析すると、活躍の停滞期には「楽しい」「努力」などのワードが増えています。無理にでも楽しいと書く一方で、そこから懸命に上がろうと努力する姿が垣間見えます。
この研究手法に基づく分析結果は、アイドルグループを運営する側のマネジメント、つまり、どのようにしたらメンバー間の人間関係を良好にできるか、各人のモチベーションを維持できるか、といった課題に対する大きなヒントとなります。
アイドルも学問になる
アイドルなど、通常の学問では取り扱いそうもないと思える事柄や事象も、手法しだいでは十分研究対象となり、それが経営学に、また社会に役立つものとなり得るのです。
科学的分析の手法は、組織内で効果的に人間を動かす、あるいは円滑な人間関係を保つために有効に機能します。それは、企業における雇用主と被雇用者の関係、病院や学校、部活動、家族など、さまざまな形態の組織において、有効なものです。
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先生情報 / 大学情報
成蹊大学 経営学部 総合経営学科 教授 上田 泰 先生
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