想定外の大震災によって認識された、ボランティアと「共助」の考え方
行政も被災した大震災
1995年に起こった阪神・淡路大震災は、日本の都市社会がそれまで経験したことのない最大級の震災でした。それまでの日本の防災対策は、建物の耐震性能の向上や強固な防波堤の建築など、被害の発生を抑止するハード対策が中心で、発生した被害や被災者への対応は、行政が中心となって行うことになっていました(「公助」)。ところが阪神・淡路大震災では、行政そのものが被災し、じゅうぶんに対応できない事態に陥りました。代わりに震災発生直後に人命救助で活躍したのは、被災者でもある近隣の住民でした。そしてその後は、年間138万人とも言われる大勢のボランティアが、被災地の外からも駆けつけ、活躍しました。1995年が「災害ボランティア元年」と言われるゆえんです。
「共助」の大切さ
普段、コミュニティの中で行われる助け合いを「互助」とすると、災害時は地域の外部からもさまざまな人たちが支援に駆けつけてきます。ここでは普段の互助も合わせて「共助(きょうじょ)」と呼ぶことにします。阪神・淡路大震災におけるボランティアの活躍によって共助の重要性が認識されるようになりました。そして震災後も、各地で多発する災害に対応していくため、災害ボランティアのネットワークが結成される動きが広がり、災害対応のノウハウが共有されて行きました。現在、災害が起こると、社会福祉協議会や行政などの地元団体と災害NPOなどが連携して「災害ボランティアセンター」を開設し、多くの市民を受入れる仕組みが定着してきています。
私たちがしておくべきこと
では、万一の被災に備えて私たちがしておくべきことは何でしょうか。どこに行って何をするかという訓練も大切ですが、その前に「発災時、自分はどこにいて、どう被災する可能性があるか」を考えることです。仮に自宅にいるのであれば家具がどう倒れてくるか、学校なら、通学路なら、などと具体的にシミュレーションしてみましょう。非常時の視点で日常を点検してみることが、一人ひとりの防災力の向上につながるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 准教授 菅 磨志保 先生
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