こんなに違う!? 日本とアジアのインターネットカフェ
インターネットがパブリックな場所に存在した時代
私たちはさまざまな通信機器を用いて情報を受け取り、加工、発信しており、その量と速度、質の大きな変化は、社会制度や人々の考え方に大きな影響を与えています。現在はスマートフォンを使ってユーチューブやインスタグラムを個人的に視聴している人も多いと思いますが、昔の日本のインターネット利用は、「カフェ」のような他者から見えるパブリックな場所にも広がっていました。個人端末の通信速度や処理速度が増したことを理由の一つとして、動画視聴、写真の投稿や共有といったことが、パーソナルなものになったのです。
地域で異なるインターネットカフェの役割
事実、インターネットやパソコンは、海外では日本とは異なった意味で、生活に必要なものとして人々に受容されています。「東アジアのインターネットカフェ」を例にすると、北京では地方からの出稼ぎ労働者が映画を観たり、オンラインゲームを楽しんだりする場所、香港では子どもを預ける託児所のような場所にもなっています。地域や社会によってインターネットやパソコンの意味は大きく異なるのです。
「社会がメディアとどのように出会い、その影響で社会はどのように変わるのか」、逆に「情報メディア技術が、地域や時代によってどのように意味づけされるのか」、こうしたことを分析する学問を「社会情報学」と呼ぶことができます。
社会学と情報学を掛け合わせた「社会情報学」
現在は手軽にオンラインアプリを開発する環境が整っています。しかし、メディアを使う場所、人々の通信環境、人々のコミュニケーションの変容を理解しなければ、アプリを作ることはできても普及させることは難しいでしょう。法学、経済学、心理学、歴史学といった人文・社会科学の知を結集させて「今ある社会のあり方」を考究する学問として生まれた「社会学」と、当の社会を変容させつつある情報技術や情報メディアの開発や利活用の基礎となる「情報学」の両者を掛け合わせた社会情報学は、今後も注目されていく学問の一つと言えます。
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先生情報 / 大学情報
群馬大学 情報学部 情報学科 准教授 平田 知久 先生
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社会情報学、メディア社会学先生が目指すSDGs
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