初心者でもベテラン生産者並みの収穫が実現する「IT農業」とは?

農作物の安定供給は、ベテラン農家のおかげ
家庭菜園やプランターでの野菜作りにチャレンジしたものの枯らしてしまった経験はありませんか? 農業は生産者の技術や知識が非常に重要になる産業です。降雨量や気温、日照量などが毎年違うのに、米や野菜などの農作物が安定的に食卓に並ぶのは、ベテラン生産者の技術のおかげだと言えます。そのノウハウをコンピュータに学習させ、初心者でもベテラン生産者並みの収穫を得られるようにする「IT農業」の研究が進められています。
動画も活用したきめ細かい農業指導
近年、脱サラして農業を始めようとする人が増えています。しかし、いざ始めてみると思うような収穫ができないケースも少なくありません。肥料を与える量やタイミング、害虫の駆除、収穫時期などすべての作業を、作物の生育状況を見ながらコントロールする必要があり、少し習ったくらいではベテラン生産者と同じ成果を上げるのは困難なのです。
そこで、実際の農作業記録や、農場に設置した気象系センサーなどのデータをコンピュータに蓄積し、初心者でも次に何をすべきかわかるようにするのがIT農業の狙いです。摘果(間引き)が必要な作物は、どれくらい育った時にどの程度を摘むのかなど、文書では伝わりにくい作業も多いので、動画データの収集も重要です。
コンピュータがベテランの指導員?
IT農業の研究では、膨大なデータをコンピュータが論理的に処理し、雨や日照りが続いたらどうするか、例年より気温が低い時はと、まさにベテラン生産者のように指導してくれるシステムをめざしています。ある地域特定の気象データを蓄積することで、その土地に適した作物を提案してくれるシステムも構築できるでしょう。
農村地帯では後継者不足や、ベテラン生産者の高齢化が社会問題化しています。しかし、IT農業を発展させることによって、従来の農作業が軽減されたり、後継者育成を効率的に進められたりするようになることが期待できるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

崇城大学情報学部 情報学科 教授堀部 典子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
知能情報学、情報学、数学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?