レーザーで飛行機の燃費が向上する?

レーザーで飛行機の燃費が向上する?

飛行機の一番の敵は「抵抗」

飛行機が空を飛んでいる時、機体には抵抗がかかっています。抵抗が大きければ大きいほど、それに打ち勝つ推力(推進力)を出さなければならないため、燃料もたくさん必要になります。ということはすなわち、抵抗が少なければ、それだけ燃料を使わずにすむということになります。

抵抗を減らす工夫で燃料費を大幅に節約!

例えばある飛行機が1回飛ぶのに、燃料費が1万円かかるとします。その燃料費の一部、仮に100円分のエネルギーを抵抗の低減に使い、抵抗を半分まで落とすことができたとしたら、燃料費は5100円ですみます。なんと4900円ものお金が浮くことになるのです。抵抗を減らすことが燃費の向上に一役買うというわけです。
例えばレーザーのエネルギーを飛行機の前方に集めて空気を温めると、抵抗が減ることが実験によってわかっています。これは、飛行機の速度が高ければ高いほど効果があります。現在は運行停止になっていますが、かつてイギリスとフランスで共同開発した、「コンコルド」という音よりも速いマッハ2のスピードで飛ぶ旅客機がありました。運行停止の理由の一つに燃費の悪さがありましたが、この研究が進めばそれも解決できるのではないでしょうか。

超音速旅客機が再び登場する日も近い!?

また、レーザーを使用するには電気が必要ですが、飛行機はジェットエンジンで発電もしているため、その電力をレーザーに有効利用することができます。レーザーの中でも、光ファイバーでレーザーの光を発振させる『ファイバーレーザー』というものが登場しており、2000年ごろと比べると格段に進歩しています。5年後、10年後には飛行機に搭載可能なレーザーができるのではないかと考えられています。超音速旅客機が再び空を飛ぶ日もそう遠くはないのかもしれません。

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名古屋大学 工学部 機械・航空工学科 航空宇宙工学コース 教授 佐宗 章弘 先生

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航空宇宙工学

メッセージ

飛行機がなぜ飛ぶか、ロケットがなぜ飛ぶかという仕組みは、大学1年の講義を受ければ全部わかります。宇宙旅行のための技術も昔に比べ身近なものになってきました。自動車作りの感覚でロケットも飛ばすことができます。科学はこの先もまだどんどん進歩します。既存のものはコンピュータでもできますが、これからのものは人間にしか創れません。高校までは学ぶ一方ですが、大学では受け身でいてはいけません。自分なりに魂を入れて、オリジナルなものを創る楽しさを知ってほしいです。

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名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。