小型電動航空機の時代がやってくる!
実用段階に入った小型電動航空機
CO₂やNOX(窒素酸化物)を排出する内燃機関は、徐々に少なくなるでしょう。セスナのような小型プロペラ飛行機も小型電動航空機に置き換わると考えられます。すでに、電気自動車(EV)を動かす程度のモーターやバッテリーで、既存の小型航空機と同じ出力を得られることが、地上走行テストで実証されています。また、スロベニアでは2人乗りの小型電動航空機が製造・販売されています。電動航空機の世界はすぐそこにやって来ています。
小型電動航空機の利点とは
小型電動航空機の乗員は4~6人を想定しています。エンジン機に比べ騒音が少なく、時速200キロで1時間程度の飛行が可能です。モーターやバッテリーの高性能化で、航続距離はさらに伸びると考えられます。機体形状も従来の形にとらわれず、主翼上に10個以上のモーターを搭載するなど、飛行性能の効率化をめざして斬新な形状が考案されています。
機体価格は、現在の小型プロペラ航空機は2000~3000万円ですが、1000万円程度に抑えられるでしょう。ランニングコストも4分の1になります。また、山岳地帯や海を越えて旅客輸送するためにトンネルや港を作ると莫大な費用が必要ですが、小型航空機は400m程度の滑走路で離発着できるので、新規の飛行場建設もそれほど費用はかかりません。日本のように山や離島が多く、海に囲まれている国には、小型電動航空機が向いているのです。
求められる新たな航空管制システムと認証制度
空飛ぶクルマというドローン型の機体も開発されています。こちらは垂直飛行が可能なので簡単な飛行場で運用可能です。自動運転なので、パイロットも要りません。ただ突風に弱いため、飛行の安全性や安定性を確保するためには、新しい設計と制御システムが必要です。
空飛ぶクルマや小型電動航空機が増えると、航空管制システムが複雑になります。その研究も行われています。また、新たな航空機の安全性とその適切な運航の確保のための認証制度の構築も今後の重要な課題です。
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久留米工業大学 工学部 交通機械工学科 教授 麻生 茂 先生
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