次世代ドライブレコーダで安全運転をアドバイス

次世代ドライブレコーダで安全運転をアドバイス

無意識の行動を検出するシステム

人間には自分でも気がつかないうちにとっている行動があります。そのような無意識の行動パターンを電気信号に置き換えて分析すると、見えてくるものがあります。
現在、タクシーの半数以上には、「ドライブレコーダ」が搭載されています。ドライブレコーダでは、カメラや加速度計、GPS(全地球測位システム)によって、衝突・急ブレーキ・急ハンドルなど危険な運転行為を検出することができますが、ドライバーが危険に気づかずに見過ごしてしまった危険個所は検出できません。そこで信号処理の技術を用いて、よりさまざまな危険シーンを検出すると同時に、ドライバーに安全走行をうながす次世代のドライブレコーダが考案されました。

多種類のセンサで運転をチェック

次世代型には通常のドライブレコーダに加え、ペダル踏力センサ、車間距離センサ、全方位カメラ、マイクロホン、生体信号計などといった15種以上のセンサを載せます。それらのセンサから得る信号を解析することで、「一時停止をきちんとしたか」「減速すべき場所でスピードを落としたか」などの運転行動もわかるのです。
例えば、「一時停止の確認」については、自動車が一時停止の場所を通過する時刻をまずGPSから割り出し、次に実際に通過した時の速度を見ることで判断します。

安全運転をドライバーにアドバイス

センサで得た情報から、検出された危険な場所、種類、度合いなどを、動画やグラフでパソコンのブラウザ上に表示します。それをドライバーに見てもらい、「なぜ危険だったのか」「どのように運転すべきか」などのアドバイスを行います。まだ実用化には至っていませんが、実験でドライバーにこのシステムを体験してもらったところ、その後は危険運転が大幅に減ったことがわかりました。
行動を信号処理し分析することで、人間の考え方や性格など特質が見えてくるのです。今後は、このようなことを理解したうえで技術開発を進め、人間と機械との共存を考えることがますます重要になるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

名古屋大学 工学部 電気電子情報工学科 電気電子工学コース 教授 武田 一哉 先生

名古屋大学 工学部 電気電子情報工学科 電気電子工学コース 教授 武田 一哉 先生

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情報科学、行動信号処理

メッセージ

「あの人なら、こんなときどうするだろう」と考えたことはありませんか? 人には何をするにつけても、その人らしいやり方があると思います。歌の歌い方や楽器の演奏方法、自動車の運転……そういった人々の行動の仕方に隠された個性を、私の研究室では信号処理の技術とコンピュータの力を借りて研究しています。これは理系の研究という枠を超えて、「人間をどう理解するか」という研究にもつながります。あなたも興味があるならぜひ一緒に研究しましょう。

名古屋大学に関心を持ったあなたは

名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。