ますます広がる、小型無人飛行機の活躍の場
自然災害時の現場で求められるもの
阪神・淡路大震災や東日本大震災などの経験から、災害初期に人が行けない場所での情報収集や、さまざまな支援の方策が求められています。地震の時に瓦礫で近づけない場所や火山噴火の際の火口付近の様子、河川の氾濫や潮位上昇の状況、また原発事故で漏れ出した放射性物質の状況など、人間が近寄ることができない場所の撮影やサンプル採取で期待されるのが、小型無人飛行機です。
小型無人飛行機には2つのタイプがある
小型無人飛行機は、ラジコン飛行機と同じくらいの手で扱えるほどの大きさです。(1)飛行機型と、(2)ローター型(ヘリコプター型と、ローター〈プロペラ〉が4つ、もしくは8つ付いたマルチコプター型)のタイプに分かれ、それぞれに特長があります。飛行機型は長距離・長時間飛行が可能で、遠隔地や人間の目で見えない所まで飛んで作業させることができます。ローター型は空中で1カ所にとどまる「ホバリング」ができるので撮影に向いていますし、垂直離着陸が可能で、ものを送り届けることもできます。ユニークなアイデアとして注目されているのが、ホバリング機能を生かした電波の中継基地づくりです。地上のインフラが機能しない場合に、空中に複数機配置してネットワークを築こうというものです。2つのタイプともに弱点もあるのでそれを克服するために、飛行力学や空気力学では少しでも効率よく、長距離・長時間飛ばすための研究が行われています。
用途は多岐にわたる
小型無人飛行機の活躍の場はそれだけにとどまりません。インターネット通販大手のamazonでは商品を小型無人飛行機で直接届ける実験が始まっています。また、情報を収集するという分野では、大規模な農業現場での作物の発育状況の撮影、酸性雨による山林被害状況の時系列調査、建設現場で建物を造る工程の記録や管理、スポーツ中継など、その活用の場は多岐にわたり、小型無人飛行機の用途は、ますます広がりを見せています。
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先生情報 / 大学情報
金沢工業大学 工学部 航空宇宙工学科 ※2025年4月名称変更 准教授 赤坂 剛史 先生
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