企業を見極めるポイント
CSRというモノサシ
買い物や就職活動など、さまざまなシーンで私たちは企業を選別します。そのよりどころは何でしょうか。知名度の高さ、規模の大きさ、売り上げの高さなど多々ありますが、近年注目されている評価基準のひとつに、「CSR」と呼ばれるものがあります。
これは、Corporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」という意味です。利益を追求する組織が果たすべき社会的責任とは、一体何でしょうか。
「短期」は損気!?
利益だけで考えてみましょう。例えば建設会社なら、できるだけ安い建材でなるべく手間を省き、見栄えのする家を建てれば利益はすぐに得られます。しかし、目先の利益を重視して作られた住宅はさまざまな欠陥を生み、顧客に経済的にも心理的にもダメージを与えてしまいます。すると将来、リフォームや新築の注文をもらえないばかりか、顧客からその能力すらも奪ってしまう可能性があるのです。このように、商売をすればするほど社会の活力を奪ってしまう企業は、やがて自分たちの存続をも危うくしかねません。
長い目で、持続可能な社会をめざす
一方、顧客の要望や社員の意見に誠実に耳を傾け、環境に配慮した良質な建材を選び、常に最新の技術を取り入れ、価格を抑える努力を怠らず、丁寧なものづくりを心掛けている建設会社はどうでしょう。これには社員教育や技術革新などにお金や時間がかかり、すぐに大きな利益が出るわけではありません。しかしよい家は、顧客に豊かで快適な暮らしを提供します。品質がよいので、将来正当な価格で転売することもできます。それを元手に、顧客は新たに家を建てることもできますし、企業側にとっても再び家の建築を依頼される可能性が高まるでしょう。
このように、企業が事業活動を通じて、人々の暮らしや地球環境を安定して持続できるよう社会に貢献すること、それがCSRであり、よい企業を見極めるポイントのひとつになるのです。
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先生情報 / 大学情報
立教大学 経営学部 国際経営学科 教授 スコット・トレバー・デイヴィス 先生
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