人びとが生き生きと働くために考えておくべき大切なこと
人びとが働きやすい社会に
経営学には情報やモノ、お金のほかに「人」を切り口にした考え方があります。人的資源管理論という学問は、人材を重要な経営資源としてとらえ、積極的に人材開発を推進していくという考え方を基本にしています。特に「なぜ人は働くのか」、「どのようにキャリアを形成するのか」というテーマは、重要です。また、ワーク・ライフ・バランスやウェル・ビーイング(幸福)は、これからの社会における人びとの働き方を考えていくうえで、大切なテーマです。さらに、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」という概念も注目されています。その実現のためには、男女や正規・非正規の格差など、解決すべき課題はたくさんあります。
ダイバーシティとインクルージョン
日本企業ではまだ外国人や女性の管理職が少なく、障がい者の雇用も限られています。しかし、人種、国籍、民族、性別、障がいの有無などにかかわらずダイバーシティ(多様性)あふれる人材を取り込むことで、創造性を刺激し、柔軟性を導入し、企業組織に競争優位をもたらすことができることが、海外の実例でも明らかになっています。
また、人びとがその多様性を認め、インクルージョン(包摂)されて共生・協働できる社会を作っていくことは、今日グローバルに共鳴されている最優先課題です。
グローバルな視野と能力を身につけて
日本の大学生は、職業意識が低いと言われています。留学など異文化体験やインターンシップ(就業体験)は、職業意識を向上するための有効な手段です。ヨーロッパでは、「エラスムス・プラス」という産学官連携によるグローバル人材開発の取り組みが注目されています。このプログラムを体験した学生の失業率は、体験していない学生に比べ半分であるという数字が出ています。異文化体験や就業体験で、多様性を理解する力とともに、トランスバーサル(新しい挑戦を受け入れる姿勢や好奇心、問題解決スキルなど)が身について、エンプロイアビリティ(雇用され得る能力)が高まるとされています。
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先生情報 / 大学情報
横浜国立大学 経営学部 経営学科 教授 二神 枝保 先生
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先生への質問
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