恋愛傾向から適職まで解る「セルフ・モニタリング」
セルフ・モニタリング傾向は「カメレオン度」
社会心理学とは人と人との関わりの中に法則性を見出だす学問です。その成果の一つとして「セルフ・モニタリング」があります。セルフ・モニタリング傾向とは「カメレオン度」のようなものです。この傾向が高い人は相手によって態度が大きく変わりますし、低い人は自分のスタンスをあまり変えません。どちらが優れている、劣っているということはなく、それは持って生まれた資質や環境で形成されるものなのです。自分や他者のセルフ・モニタリング傾向を理解することで、就職活動や恋愛など日常生活に上手に対処していくことができるのです。
恋愛行動に見る違い
セルフ・モニタリング傾向の高低は、恋愛行動にも大きな違いが見られます。例えば異性の写真と趣味や価値観などのデータで構成されるパンフレットを見せた場合、セルフ・モニタリング傾向の高い人は写真を中心に見ていき、低い人はデータの内容をじっくり読むというようにはっきりと分かれます。また交際期間でも、この傾向が高い人は低い人よりもかなり短いのです。交際相手のいない人の理由の場合でも、高い人は「いろいろな人とデートを楽しみたいから」で、低い人は「じっくり仲良くなれる一人の人を探しているから」など、恋愛に求めるものがまったく異なります。セルフ・モニタリング傾向とは、つまり外界や内的世界に向く無意識的な力の配分の違いとも言えるでしょう。
さまざまな場面への応用
セルフ・モニタリングは恋愛行動に限ったことではなく、大学生のうちに経験する就職活動、その後の企業人としての活動など、広く、しかも大きく関わっていくものなのです。ですから、セルフ・モニタリングの研究成果を多様な現実場面で応用していくと同時に、その内容を詳細に検討していくことによって、よりよい状況、さらには社会を作り出していくことが可能です。またビジネスにつなげることも可能でしょう。心理学は個人の内面の世界を理解するだけではなく、社会に貢献するツールとなることができるのです。
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先生情報 / 大学情報
立教大学 現代心理学部 心理学科 教授 小口 孝司 先生
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