社会を変える力! 持続可能な未来を拓く「対話」の学び

社会を変える!?
気候変動や貧困など、人類が直面する複雑な問題を乗り越えるためには、社会を「変える」ことが必要だという認識が広がっています。一つひとつの問題をその都度解決しても、根本にある社会がそのままでは、結局は同じような問題が繰り返されてしまうからです。いまあるルールや仕組みを見直して、「持続可能な社会」をつくることが目指されています。
さまざまな立場をつなぐ「対話」
「持続可能な社会をつくる」ことに反対する人はいません。ところが、どのような社会をつくるか、そのために何を変えるか、具体的な話になると、立場の違いから対立が現れます。
たとえば、東日本大震災の後、被災地の沿岸部に次々と防潮堤が建設されました。防潮堤は津波から人々を守るためのものですが、一方で自然環境が壊されたり、人々と海のつながりが断たれたりする問題も生まれます。地域の安全や早期復興を優先する立場と、豊かな自然環境とともにある暮らしを優先する立場には、対立が生じます。そんな中、ある地域では、さまざまな立場の住民らが学習と対話を重ね、「防潮堤に賛成か反対か」の対立を越える方策を探りました。その結果、海に近い国道をかさ上げすることで防潮堤と同じ効果を持たせながら、美しい海岸と人々の暮らしを守るという方法にたどり着いたのです。
「対話」の力を育む
「持続可能な社会をつくる」には、さまざまな立場の人の「対話」を通じて、新たな道を切り拓く必要があります。上記のような事例の研究から、「多様な人々と信頼関係を構築する」「対立構造を超える共通の目的を示す」「多様性や公正性を尊重する」「参加者の間に人間同士の交流と共感を生む」「外部からの支援や情報や知見をつなぐ」「対話の場の信頼を醸成する」という6つの「対話の鍵」が見いだされました。
持続可能な未来へ向けて社会を変えていくために、こうした「対話の鍵」を実現する力を育むことが、これからの教育に求められています。
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立教大学環境学部(※2026年4月設置構想中) 教授二ノ宮リム さち 先生
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