企業の「健康」を見守る「会計学」

企業の「健康」を見守る「会計学」

豊かさをはかるものさし=「お金」

「会計学」とは、いろいろな社会現象を「お金」という切り口で見る学問です。それによって今まで見えなかったことが見えるようになったり、客観的に判断できるようになったりします。例えば、日本は豊かな国だと言われますが、それはどこで判断するのでしょうか? 生活が豊かである。そうわかるのはなぜかと言えばお金で計算できるからなのです。豊かさを目に見える形で示したり、人間と人間の関係を数値としてはかる基準としてお金があり、それを理論として系統立てたのが「会計学」です。

企業にとってお金は「血液」

会計学というと難しく聞こえますが、企業を例に考えてみましょう。会社というのは人間の体のようなものです。製造や営業、事務、経理などさまざまな役割を担う人たちが働くことで、ひとつの企業として機能しています。人体の健康を調べるときによく血液検査が用いられますが、企業にとってのお金を、人体における血液だと考えてみてください。企業(人)はお金(血液)が滞りなく流れていれば生きていけますが、流れなくなれば死ぬという定めなのです。黒字なのに倒産する会社がありますが、それはお金がうまく流れないためです。逆に赤字でも銀行からの借り入れなどでお金を「輸血」し、お金が回っていれば倒産しない例もあるのです。

会計監査は定期的な健康診断

そしてこの会計におけるお金の流れを見る主治医の役割をするのが「会計監査」です。会計には一定のルールがあります。そのルールが正しく守られているか、お金の流れを定期的にチェックするのが監査の役割です。会計監査というとつい「何かおかしいぞと、疑いの目で見るもの」ととらえがちですが、主治医として定期的な健康診断を行うことで、不正などを抑止する力になることのほうが多いのです。
なんでもお金で見るというと情がないように聞こえますが、企業の健全な経営を見守り、豊かさを客観的にはかる指標として、会計学は重要な学問です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

北海道大学 経済学部 経営学科 教授 吉見 宏 先生

北海道大学 経済学部 経営学科 教授 吉見 宏 先生

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経営学、会計学、監査論

メッセージ

偏差値の高い大学が必ずしもよい大学とは限りません。ぜひ、あなた自身がどんなことに興味があるのかを考えて大学を選んでください。そして、その大学ではどのようなことが学べるのかをじっくり調べてみてください。例えば一口に経済学部といっても、大学によって学ぶ内容はずいぶん異なります。北海道大学経済学部では、経済学と経営学の2つの視点で経済全体を見通そうとしています。私たちがどうすれば今より豊かになれるのか、富はどこからくるのか、北海道の広大な大地の中で、このような問題を一緒に考えてみませんか?

北海道大学に関心を持ったあなたは

北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。