国家の権利義務に関わる国際法:実は身近なその役割とは
飛行機はなぜ国と国との間を行き来できる?
いまや世界中の国々が飛行機で結ばれています。でも考えてみれば、各国の飛行機がほかの国に入り込んでまた帰ってきたり、ほかの国で荷客を積み降ろすといったことができるのはなぜでしょうか? 実は、各国は民間航空機の相互乗り入れを認めるということを取りきめていて、すべての飛行機はそうした取りきめに従って運航されています。安心して飛行機に乗って海外旅行に出かけられるのも、実はそうした国際法があってのことなのです。
人権保障は憲法で十分?
日本人の子どもは、日本人。当たり前のようにも思えますが、実はそうでもありません。確かにいまの日本の法律は、出生時に「父または母」が日本国民であった場合、その子は日本国民となると定めています。しかし1980年代までは、出生によって日本国民と認められるのは、「父が」日本国民である場合とされていました。あからさまな女性差別に見えますが、当時はこうした法律も憲法に反するものではないとされていました。それが、1979年に国連総会で女子に対する差別の撤廃を謳う条約が採択され、日本もそうした動きにならって、1984年に法律をいまのように改めました。このように、国内法をあいだに挟んで国際法がわれわれ個人の問題に関わっている例は、ほかにもたくさんあります。
国際法は国家を介してみんなにつながっている
国際法は「国際社会における国家の権利義務を定める法である」と言われます。だからといってあなたと関わりがないわけではありません。すでにお話ししたように、国際法はあなた自身に密接に関わっています。そもそも国家がその国民・市民のために作られた「仕組み」であるのであれば、国際法は、そうした仕組みとしての国家を介して、あなた自身の問題にこそ関わっているはずです。国際法が扱う問題は、戦争と平和に始まり、陸・海・空さらに宇宙空間での諸活動の規制、そして国際経済や環境保護など多種多様ですが、それらのどれもが、あなた自身の問題でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
立教大学 法学部 法学科 教授 岩月 直樹 先生
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