脳波でロボットをコントロールする
脳波でハンド・ロボットを制御
ハンド・ロボットは、人間の手の代わりになり指を動かしたりするロボットです。けがや病気などで手を失った人のために役立ちます。腕の筋肉の電位差を利用して手の動きをコントロールする方法もありますが、腕を失ってしまった人は利用できませんし、脊髄を損傷した人は脳からの電気信号が正しく伝達されない場合があります。
そこで脳波を使って制御する方法が考えられました。脳波を測定し、波形をデータとして解析します。例えば、じゃんけんの「グー」の脳波、「パー」の脳波などを取り出してハンド・ロボットに出力するのです。しかし人間の脳は「グー」や「パー」だけを考えているわけではありません。エアコンの音や雑音などが聞こえていれば、それらにも脳は反応しています。これらのノイズを除去しなければなりません。情報工学を活用して、余分な脳波の反応を除去して、脳が考えていることを取り出す研究が進められています。
家にいるような感覚を味わったり、遠隔操作も
このハンド・ロボットをロボットに組み込めば、例えば入院中の人でも家にいるような感覚を得ることができます。ロボットについているカメラを脳波によってコントロールし、思いどおりに動かせれば、家で家族と一緒にいるような感覚を体験することができます。また、脳からの信号をロボットに伝えて、遠隔操作で仕事をさせるなどの利用も考えられます。
脳へのインプットを研究
現在行われているのは脳波からの制御で、逆方向の情報を伝達する技術がまだ確立されていません。つまりロボットが何かにぶつかった時に「痛い」という感覚を脳に伝えるなどの、脳への伝達です。この技術が完成すれば、本当にその人がその場にいるような感覚になります。相手の視線の方向や、ちょっとした音などが脳に伝われば、その場の「空気」もリアルに感じることができます。
今後は脳への「インプット」が重要なテーマとなり、情報工学などを活用した研究が進められていくでしょう。
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