トレーニングを中断しても体力を維持する方法があった!

トレーニングを中断しても体力を維持する方法があった!

ディトレーニングとは

いま部活などでスポーツに打ち込んでいる人も、定期試験や大学受験でトレーニングを中断しなければならないことがあるかもしれません。トレーニングを中断もしくは止めてしまうことを、「ディトレーニング(detraining)」と言います。人間は活動量が少なくなると身体の機能が低下しますが、これはトレーニングを行っていた期間や中断した期間、食事や生活環境、年齢、性別などによっても左右されます。

トレーニングを中断すると身体はどうなる?

「技能」「スピード」「筋力」「持久力」の4種類の体力が、ディトレーニングによってどのように変化するか見てみましょう。
技能やスピードは、比較的ディトレーニングの影響が少ないとされます。これらは脳の制御や、生まれつき持っている筋線維のタイプと関係するからです。陸上の短距離選手は、しばらく休んだ後の方が、よい結果が出せることもあると言います。しかし、ゴルフのショットなど正確性が要求される技術は、繰り返しの練習が大切ですから、ディトレーニングによって能力は低下していきます。
一方、筋力と持久力はトレーニング中断後、2週間くらいで落ち始めます。そして3~6カ月で筋力と持久力はトレーニング前の元のレベル近くまで戻ってしまうのですが、まったく運動をしていない初心者レベルにまで低下するわけではありません。

効率的に体力を維持するには

実験により、長い時間をかけてトレーニングした方が筋力が落ちにくいことや、トレーニングとディトレーニングを繰り返すと筋力の低下が少なく、回復も早いことがわかっています(マッスルメモリーと言われています)。ディトレーニングの影響をさらに小さくするには、どうすればよいでしょうか。
実は、トレーニングの時間や回数が減っても、練習の強度(負荷)を保っておけば、体力は低下しないことがわかっています。つまり、試験や受験期間中でも強度を保ってトレーニングをすれば、時間や頻度を3分の1に減らしても体力は維持できるのです。

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先生情報 / 大学情報

名古屋大学 総合保健体育科学センター  教授 石田 浩司 先生

名古屋大学 総合保健体育科学センター 教授 石田 浩司 先生

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スポーツ生理学

メッセージ

運動の継続は、健康で人間的な生活を送る上で大切なものです。高校時代は体力の伸び方が一番大きいときですから、今のうちにしっかり鍛えておいてください。そしてできれば、社会人になっても運動を続けてほしいと思います。スポーツは、多様な方向から人間を探ることができる面白い分野です。名古屋大学の総合保健体育科学センターには、私の研究分野のスポーツ生理学以外に、スポーツ社会学、スポーツ心理学などの、さまざまな専門家がいます。興味があるあなたに、ぜひ学びに来てほしいと思います。

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名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。