スポーツ外傷予防のためにできることは? ラグビーの事例から

スポーツ外傷予防のためにできることは? ラグビーの事例から

ジュニアラグビーに多いけが

中学生を対象としたジュニアラグビーのスポーツ外傷・障害調査で、特定のチームを調査対象として障がいの傾向を分析した結果、指の骨折やじん帯損傷が多く見られました。ジュニアラグビーではタックルで相手選手をつかんでしまうことがあり、指をけがすることも珍しくありません。けがをした場合、復帰までにかかる期間は1~2カ月ほどです。その間ただ休んでいては体力や技術が低下してしまうため、患部以外の体力を落とさないためのトレーニングが重要です。指をけがしたときは脚を使ったトレーニングに重点を置くなど、トレーナーはスポーツ外傷・障害に関する知識や研究をもとに練習メニューを提案します。

練習が予防につながる

ラグビーのようなコンタクトスポーツはけがをしやすいので、予防も重要です。ジュニアラグビーの場合は、技術レベルの向上がけがの予防にもつながります。例えばタックルに恐怖心を抱いてしまい、正しいフォームを維持できない選手がいるとします。その場合は腰を落とした低い姿勢などを練習し、試合を通して段階的に恐怖を和らげていきます。腰を落とした姿勢を維持するためには股関節や膝関節などの柔軟性を向上させるためのトレーニングも必要です。技術を教えるのはコーチですが、完成度を高めるための研究データを提供するのはトレーナーの役割です。

テーピングは応用が大事

ラグビーで特にけがが多い足関節、肩、指などは、テーピングでスポーツ外傷を予防する方法もあります。テーピングをするときは巻き方だけではなく、体をどのように動かすとじん帯が痛むのかなど、けがの特徴を理解することも求められます。選手の身体の大きさやけがの状況によっても巻き方は変わるため、応用力も必要です。学生を対象にしたフィールドワークでは、テーピング実習の前後で意識や着眼点に変化が見られます。選手に貢献できるトレーナーになるためには、知識だけでなく、現場で実践経験を積むことが重要なのです。

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先生情報 / 大学情報

帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 医療スポーツ学科 トレーナー・スポーツコース 教授 高橋 仁 先生

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医療スポーツ学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたが将来トレーナーやコーチをめざしているのなら、高校生のうちにとことんスポーツに取り組んでおきましょう。レベルが高くなくても構いません。また、スポーツへの関わり方は選手だけでなく、マネージャーなどさまざまな選択肢があります。高校3年間をしっかりスポーツに打ち込んでおくと、そのときの経験が大学に入ってからも役立ちます。
トレーナーは、スポーツが好きという気持ちがなければ続けることが難しい職業です。選手と一緒に一喜一憂する経験もモチベーションにつながるので、ぜひ真剣に取り組んでください。

先生への質問

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首都圏の4つのキャンパスには、あなたの学びたい思いに応える医療からグローバルまで5学部18学科の学びがあり、約10,000人の学生が学んでいます。各キャンパスでは“実学”を徹底的に重視した教育や実践の場を用意。地域の医療や暮らしに関する拠点となる施設・環境を整え、学びに応じた実学教育を展開。学生は実習を積み重ね、キャリアに直結する実践能力を身につけます。