社会福祉士になる! ソーシャルワーク実習を充実させるには
社会福祉士になるための義務
身体に障害があったり、経済的に困窮していたりと、社会にはさまざまな悩みを持っている人がいます。悩みを解消して各自が望む生活を実現するための支援を行っているのが、社会福祉士です。
厚生労働省は社会福祉士の国家資格試験を受験する条件として、2施設合計で240時間以上のソーシャルワーク実習を行うことを義務づけています。しかし社会福祉士が働く施設や相手にする年代は多種多様で、実習先はもちろん、実習内容もそれぞれ違います。また「この技術を習得すればいい」といった具体的な目標も決めにくく、参加する学生も難しさを感じています。
フラットな思考を育む
ソーシャルワーク実習で学生たちが戸惑わないようにするために、カリキュラムの研究が行われています。効果的だとわかってきた手法のひとつが、実習前に行う演習科目を充実させることです。一例として、自分と周囲の人との違いを知る演習があります。先入観なくさまざまな価値観を受け入れる力は、社会福祉士が相談を受ける場面で役立つからです。
例えばギャンブルが好きな利用者が社会福祉士のもとに相談に来たとします。このとき社会福祉士に求められるのは、「ギャンブルはダメ」と一般的な常識を押しつけるのではなく、「ギャンブルをしている」という事実をフラットに受け入れる力です。そのためには、社会には自分とは異なる価値観を持つ人がたくさんいるのだ、という前提を身につけておく必要があります。
学校と現場の連携
学校教育の現場と、社会福祉士が働く現場との連携も課題になっています。
現場では、実習期間しか学生と接しません。そのため現場での情報共有や学生のサポートが十分ではない、という問題が発生しているのです。中には授業を聞いているときは困ったことがなくても、現場で人と接したり記録を書いたりするときにうまくいかず悩んでしまう学生もいます。
社会福祉士になりたい学生の能力を伸ばすためにも、学校と実習先の連携を強化するための研究が始まっています。
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先生情報 / 大学情報
四天王寺大学 社会学部 人間福祉学科 講師 大西 敏浩 先生
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